グラフで9割だまされるなど
- 作者: 松岡正剛
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/04/08
- メディア: 新書
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著者の読書遍歴と、読書手法についての本。
「役に立つ読書」について聞かれるのがつまらない。
それって、「役に立つ人生って何か」と聞くようなものですよ。そんなこと、人それぞれですよ。
<中略>
読書はそもそもリスクを伴うものなんです。それが読書です。ですから、本を読めばその本が自分を応援してくれると思いすぎないことです。
背信もする。裏切りもする。負担を負わせもする。それが読書です。だから、面白い。
昔の友人に、「本を読むのってためになるの?」と言われて困ったことがある。ためにはならないだろうと思ってるから。(実用書とか、教科書の類は別だが・・・)
正直、本なんか読んでるより外に出て友達と遊ぶなり、スポーツして体鍛えるなりしたほうがいいよ、といいたい。
そうでないと、本を読んで感想をブログに書いてる方が人と話すより楽しい、という歪んだ人間になります。当ブログ管理人のような。
まあ、そもそも最初からそういう価値観だから本を読んで歪んだというわけでもないような気もするが・・・
こういうスレを紹介したこともあるが、「趣味は読書」というのもかなり微妙な表現だ。読書と一口に言っても幅が広すぎる上に敷居も低い趣味なので、ほぼ無趣味と同等にとらえられがちである。実際、活字中毒の気がある人にとっては、ほぼ他の趣味が不要な状態にもなれるのが読書の恐ろしさである。いくらでも時間がかけられるし、本屋に行けばいくらでも安いコストで新しい本が調達できるし。
それはさておき、マッピングの手法は役立ちそうだ。ブックオフに売れなくなるから、売らない本限定だが。
- 作者: 田村秀
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/09/20
- メディア: 新書
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データの切り口によっていくらでも情報操作が可能という本。
テーマはいいが、あちこちに話が広がりすぎて、個々の事例に対して突っ込み不足な印象も受けた。
グラフで9割だまされる 情報リテラシーを鍛える84のプレゼン
- 作者: ニコラスストレンジ,酒井泰介
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2008/08/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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上の本と同じようなテーマだが、こちらの方が面白かった。やはり、グラフの力は大きい。
昔、日経新聞に載ってた下記グラフについて「任期前半の株価下落期を無視するな」と言うエントリを書いた。
このエントリについてはしつこいくらい何度も取り上げてるが、日経新聞の背後の意図を読み取るのにこれほど象徴的なグラフもあるまい。
グラフがなぜか小泉首相の任期途中からになっていることもひどい(ついでに言えば、海外市場の話を完全無視してるのもなんだかなあ、と。毎日「○○日のNY市場が〜」とか書いてる日経の記者が知らないはずがない。)が、その背後に小泉首相とその後任の首相の写真を並べているのも芸が細かい。当然、長期政権となった小泉首相の写真が大きく出ているのに対し、後任の首相は狭いところに押し込められ、いかにも窮屈そうだ。
小泉首相の任期前半は株価下落が続いて「株価に一喜一憂しない」という発言もあったことを記憶している人間ならともかく、そうでない人なら、「小泉さんの頃はよかったのに」と無邪気に信じこむんだろうなあ、と思った。下がった時は放置、上がったときだけ政治的に利用するのは後だしジャンケンと変わらん。ましてや、政府の動きをチェックするべきマスコミが・・・・
と思うけど、この「グラフで9割だまされる」を読んでるとどこの国のマスコミもイベント志向であることには変わりないのかなあ、とも思った。