KJ-monasouken’s diary

昔「モナー総研」と言うスレ紹介ブログやってた人のブログ。いまはTwitterの活動がメイン。

首相会見など

本日、新型コロナウイルスについて首相会見があったわけですが、概ね間違ったことは言ってないものの、記者会見やる割にはメッセージが弱いな、と感じた。

全体的な内容としては、本日「新型コロナウイルス感染症対策本部」にて決定された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」に沿ったものと思えた。

新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」は、足許の状況としては、専門家会議で言及された内容に基づき記載。

現時点では、国内では、未だ大規模なまん延が認められる地域があるわけではないが、積極的疫学調査等のまん延防止策により、各地域において感染経路の不明な患者やクラスター(患者間の関連が認められた集団。以下「クラスター」という。)の発生を封じ込めることが、いわゆるオーバーシュートと呼ばれる爆発的な感染拡大(以下「オーバーシュート」という。)の発生を防止し、感染者、重症者及び死亡者の発生を最小限に食い止めるためには重要である。また、必要に応じ、外出自粛の要請等の接触機会の低減を組み合わせて実施することにより、感染拡大の速度を可能な限り抑制することが、上記の封じ込めを図るためにも、また、医療提供体制を崩壊させないためにも、重要である。

これらについては、先日のNHKスペシャルの内容が分かりやすいかと→「Nスペ 専門家に聞く“新型コロナウイルス”との闘い方と対策

「基本的対処方針」の中で、経済・雇用対策については下記の通り言及。

政府は、新型コロナウイルス感染症のまん延を防止するとともに、新型コロナウイルス感染症による内外経済や国民生活への影響を注意深く見極めながら、機動的に、必要かつ十分な経済財政政策を躊躇なく行うこととし、日本経済を確かな成長軌道へと戻すための思い切った措置を講じていく。特に、新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動が縮小する中で影響を受けているフリーランスを含め、様々な形態で働く方々の雇用や生活を維持するとともに、中小・小規模事業者や個人事業主の方々が継続して事業に取り組めるよう制度を整える。

そして、今日の記者会見。動画をみるなら、首相官邸に動画がアップされています→リンク

産経新聞が文字起こししてくれているので、こちらを見るのもよいと思います。→リンク

首相会見そのものは、概ね「基本的対処方針」の内容を首相の言葉で演説したように見える。

以下、後半の質疑部分を経済・雇用関係中心に引用。

--令和2年度補正予算案を4月中に編成して国会に提出する考えはあるか。リーマン・ショック後の平成21年に決定した国の財政支出15兆円、事業規模56兆円の経済対策を上回る施策をとるということでよいか。収入が減った世帯への現金給付を行うのか。規模感や具体策、狙いは。

 「まず昨日、来年度予算が成立をしました。まずはですね、その中の26兆円の事業規模のですね、経済対策を1日も早く執行していきたいと考えています。そして景気をですね、下支えしていきます。その上で日本経済全体に渡ってですね、極めて甚大な影響が生じていますが、そのマグニチュードに見合っただけの強大な政策をですね、財政、金融、税制を総動員して実行していく考えであります。

 緊急経済対策のですね、策定とその実行のための補正予算の編成をこの後の、この会見の後ですね、指示いたします。そして、今後10日程度のうちに取りまとめ、速やかに国会に提出したいと考えています。今まさにスピードが求められていると思います。そういう観点からですね、相当大変ではありますが、10日程度のうちにとりまとめてそして速やかに国会に提出をしたいと考えています。

 個別のヒアリングを行ってまいりましたが、厳しい状況に置かれている方々、本当にたくさんおられると思います。まさに日々の資金繰り、当面のキャッシュがないという方々もたくさんおられるわけでございますので、そうした中小・小規模事業者の皆さん、フリーランス個人事業主の方々、そして、まさに日々の生活、大変に不安を感じておられる方々がたくさんおられますので、冒頭申し上げましたように、そうした皆さんのですね、事業を継続していただくために、あるいは生活をしっかりと維持をしていただくために現金給付を行いたいと考えています。

 そしてその上においてですね、感染の拡大が抑制された段階において、旅行や運輸、外食イベントなどでですね、大変な影響を受けている方々に対して短期集中で大胆な需要喚起策を講じていきたいと、そしてまさに全国津々浦々、また笑顔が戻ってくるようにV字回復を目指していきたいと考えています。そしてリーマンショックの規模を上回るか上回らないか、これはリーマンショックの規模を上回る。かつてない規模の対策をとりたいと考えています」

一応は、「リーマンショック時の経済対策の規模を上回る、かつてない規模の対策」と述べているようなので、事業規模的にはそれなりの数字を出して来そう。

 --経済対策について。企業への雇用調整助成金の助成率の拡大や、非正規社員などに対象を広げた対策をとる考えはあるか。現金給付の規模は、一律給付を考えているのか、対象は

 「まず、安倍政権はですね、経済においては、一番大切な使命は雇用を守ることだとこう考えてまいりました。雇用を生み出すことに最も力を入れてきたところでありまして、この7年間で400万人以上の雇用を創出をしてきました。しかし、こういう厳しいときに、何をやらなければいけないか、それは雇用を守ることなんだろうと思います。

 リーマンショックのときの経験を元にですね、まずはやはり一番苦しいのは中小企業、小規模事業者の皆さんなんだろうと、こういう皆さんに雇用を継続していただかなければなりません。そこで4月からはですね、雇用調整助成金の助成率について、解雇等を問わず、雇用を維持する企業に対して、正規・非正規に関わらず、中小企業は90%、大企業でも75%に引き上げていきます。引き続き、日本国民にとって最も重要な雇用の維持に全力を挙げて参りたいと思います。

 給付金、現金の給付を行います。これは収入が減っている方々もそうなんですが、最初に申し上げましたように、中小・小規模事業者の皆さんや個人事業主の方々も、いわば経営を継続していく上において、考えていきたいと思ってます。そこで、国民みんなに給付を行うかどうかということでありますが、リーマン・ショックのときのですね、あのときも給付金を行いましたが、あのときのことも、経験を鑑(かんが)みればですね、やっぱり効果等を考えれば、そういうターゲットをある程度おいて、思い切った給付を行っていくべきなんだろうなというふうに考えております

この辺は、ちょっとはぐらかし感がある。「現金給付はやる」と明言したのはよいが、「国民みんな」ということには言葉を濁して「ターゲットを置く」と言っているので、少なくとも何かしらの線引きは行うニュアンス。「雇用の維持が中心であるので、現金給付はあくまで従であり、効果がありそうなターゲットを絞る」ということか。確かに、一律給付よりそちらのほうが良い、と言う人も多そうではあるが、スピード感を削ぐことにならないだろうか。

そして消費税についてですが、ちょっとこれは答えが長くなります。この消費税は、急速に進む高齢化の中にあって、若者からお年寄りまで全世代型社会保障改革を進めていく上においては、どうしても必要な税であり、そのために引き上げたところであります。

今般の経済政策においては、党においてもさまざまな議論が行われているというふうに考えますが、私は効果がなければならないと。効果の面、もちろんそれを主張しておられる方々も効果ということをおっしゃっているんだろうと思いますが、なるべく即効性のあるものがいいと思ってます。

 国民生活をしっかりと守り抜いていくために厳しい状況にある方々に対する現金給付制度の創設を含め、思い切った対策を講じる。そして、先ほど申し上げましたような、大変影響を受けている旅行や運輸、イベントなどにフォーカスをして短期集中で大胆な需要喚起策を講じていきたいと考えています。大変な状況下にある方々に対して、直接手が届く効果的な支援策を実施していきたいと思っています

ここは、特に失望が大きい。自民党内にも消費税引き下げを主張する議員もいるのだが、これでは安倍首相は引き下げに否定的と見ざるを得ない。国民の声を重視するなら、麻生、岸田、二階と言った重鎮の意見より、若手議員の意見を参考にすべきなのだが。

あとは、経済関係ではないが、ここかな。

欧米諸国と比べて相当日本が感染者の数が少ない。(感染の有無を調べる)PCR検査が少ないじゃないかと言われています。確かに、PCR検査の数は少ない中において、私もほぼ毎日のように厚生労働省に対して、医師が必要とする、判断すれば、必ずPCR検査できるようにしてくださいねということは、重々申し上げております。日によっては非常に少ない日がありますから、なるべくしっかりとPCR検査をやってくださいと言ってます。

 では、果たして日本はそれを隠しているのかという議論がありますよね。これは私は違うと思います、例えば、死者の数は、PCR検査の数が少ないけども死者の数が多いということではありません。では、死者の数、肺炎で亡くなっている方が実はコロナではないかとおっしゃる方がいるんですが。コロナウイルスの場合は、専門家の先生たちがこれはみんな、私も確認したんです。

 私も、私もですね、そういう批判があるんだけど、どうなんだろうかと、このPCR検査少なくて、という話を伺ったんですが、これは肺炎で亡くなった方については、基本的に肺炎になって最後はCTを必ず撮ります。CTにおいて、間質性肺炎の症状が出た方は必ずコロナを疑います。必ず。そういう方については、これ、必ず、だいたいPCRをやっておられます。

 ですから、そこで間質性肺炎でない肺炎で、例えば細菌性等々の肺炎で亡くなられた方などについていれば、これはコロナではない。ですから、コロナではなくて肺炎で亡くなったっていう方は、コロナではないんだという説明を私は受けて、私は納得したところでございます。

おかしな陰謀論に対する答えに、きちんとなっていると思う。これ以後、この問題にしつこく食いつくような野党議員やジャーナリストがいるなら、少し割引いて見ざるを得ない。

こんなとこかな。とにかく、感染症対策は、今あるリソースをそれなりに上手に使って、専門家の意見もきちんと取り入れている印象。不手際もいろいろあるし、安倍政権の対応というより、国民皆保険制度があって国民が病院に行きやすいこと、CT検査機がもともとたくさんあったこと、割とルールを守る国民性などが奏功した部分はあると思うが、感染症対策についてそこまで日本政府が悪いとは思えない。むしろよくやっているのでは。

ただ、経済対策については、明らかに迫力不足、スピード感不足。特に消費税減税についてはもっと世論が高まってほしい。新型コロナによる影響が出る前、10~12月期から、消費税増税は明らかに日本経済の足を引っ張っていたのだから。