KJ-monasouken’s diary

昔「モナー総研」と言うスレ紹介ブログやってた人のブログ。いまはTwitterの活動がメイン。

日経はスタンス変化したの?


10/2の日経に「検証・小泉時代」という特集記事が載っていた。今まで一方的に構造改革支持路線を続けてきた日経が「小泉政権の功罪」というスタンスに変化したということで、流石に分が悪いと感じ始めたのかも知れん。市場主義経済の本場の米国経済がボロボロの状況で、「構造改革」路線の説得力が乏しくなっているしな。


以前、「小泉内閣後期の相場上昇局面だけ強調するのは印象操作にも程がある」というような指摘をしたことがあるが、今回は2001年からの日経平均のグラフを一応、ちゃんと載せている。やっぱり、他にも指摘した人がいたんだろうか。まあ、米国株指数も載せてほしいところだが、記事の左上に載せただけのおまけのグラフだから仕方ないか。


特筆すべきは、「不良債権処理」の項目か。

小泉氏が就任した01年はITバブルの行き詰まりも背景に日本の金融システムに対する不安がまん延していた。市場関係者の間には不良債権処理のスピードが遅いとの見方も定着し、東京市場でもじりじり株安が進んだ。


節目は竹中経財相に金融担当相を兼務させた02年。大手銀行に従来と段違いで厳しい資産査定や自己資本の充実などを求めた「金融再生プログラム」を示した。りそな銀行が実質国有化され、みずほフィナンシャルグループなども資本増強に走った。


資産査定の見直しで巨額赤字を出したUFJ銀行を三菱東京フィナンシャル・グループが救済する形で05年にグループ統合するなど、金融当局が再編の背中を押す展開もあった。金融庁による基準の見直しなどに銀行の不信も募ったが、結果的に不良債権の呪縛から抜け出すきっかけになった。


小泉政権下で異常ともいえる為替・金融政策が続き、景気を下支えした面もある。03年度には円高圧力を抑えるために合計で三十二兆円に及ぶ史上最大の円売り。ドル買い介入を実施。日銀はゼロ金利のもとで大量の資金を市場に供給する量的緩和政策を続けた。

リフレ派ブログでは、むしろ最後の円売り介入こそが小泉政権下での最大の経済的功績ととらえる意見が多いように思う。ことあるごとに小泉カイカクを強調してきた日経にしては、量的緩和の重要性を認めるスタンスに変化しているような。


「識者の意見」も割と厳しいことが書かれている。しかも、よく言及される格差社会批判的なものではない。

成田憲彦・駿河台大学教授

小泉政権の功罪の評価は難しい。派閥を壊したり、構造改革を進めたのは評価されるべきだろう。


他方、「自民党政権を延命させた」「経世会津島派)から清和会(町村派)に権力をシフトさせただけ」との批判も可能だ。


政治を面白くしたのは確かだが、ああいう手法が継承されるべきかは大きな課題。

小泉氏の政治手法は、結局派閥抗争を大々的にやっただけ、という批判は以前からされてますね。
参考記事:小泉現象はなぜ起こったかについて考える。



野口悠紀雄早大大学院教授

小泉氏は改革路線を追求したと信じる人が多いが、産業構造改革のような本来の改革は素通りした。超金融緩和と大規模為替介入で円安を実現し、従来型製造業が主体の古い構造を温存。金融業や高生産性のサービス業は絶望的に出遅れた。


郵政民営化が何のためだったのかはいまだ明白でない。郵便貯金や簡易保険が消滅したわけではなく、実際には経営形態を変えただけだ。


不良債権処理は政策の成果でなく、景気回復で達成された。「改革」は政治的なスローガンで、本質は変わらなかった。


人々の関心をそらした小泉時代の五年半は「時間の空費」だった。

まあ、スローガンでもあそこまでパフォーマンスを続けられればある意味あっぱれ、という気もしてますけどね。私はそういうの好きじゃないですけど。


まとめ的な「小泉改革の功罪」はこんな感じ。

小泉改革に対する功罪の評価は相半ばする。それが実際の政策に基づくものなのか、別の要因によるものかは冷静に見極める必要がある。


「貧富の格差を拡大した」「地方の疲弊を招いた」などが小泉批判の代表だ。労働分野の規制緩和地方交付税抑制などがやり玉にあがるが、日本の成長が鈍り国際競争が激しくなる経済の環境変化は誰が首相でも直面していたはずだ。むしろ新規産業での雇用創出などの努力が十分だったかどうかが問われる。


「財政を健全化した」「官業にメスを入れた」など評価の声もあるが、消費税や法人税などの税制改革や、道路予算などの聖域を積み残したのもまた小泉氏だ。


改革路線に対する市場関係者や海外の評価は高いが、それも小泉氏の強烈なイメージに流されている面もある。

まず、日経は大企業・大資本側に立つ新聞なので格差社会批判はしません。そのスタンスには変化がないですね。まあ、それが不満な人は朝日新聞赤旗でも読んでいただくとして、小泉政権がイメージ先行だったことを認めるスタンスに変化してるところは注目。そもそも日経はイメージの膨張に加担してた一員じゃないの、という気もしますが。どうやら、沈む船から逃げ始めてるようですね・・・・


まあ、(消極的)自民支持の私でも、今の自民は一度下野した方がいいんじゃないか、という気がしますね。小泉バブルの後遺症により、旧来の支持層はだいぶ失ったような気がしますし。野党におりて、どぶ板でもやればどうかな。一般国民の生活も見えてくるでしょう。


そうなると、民主党政権の実現可能性が出てくるんだが、どうなのかなあ・・・・


第45回衆議院総選挙総合スレ419(議員・選挙)
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/giin/1223047836/

658 名前:無党派さん[sage] 投稿日:2008/10/04(土) 19:40:33 ID:fq+MPTr5
とりあえず、民主党の金融・経済政策は基地外という表現が生易しいほど最悪であり
もし政権交代が実現したら日本経済崩壊間違いなしというのが確定事項らしい。
ttp://d.hatena.ne.jp/kmori58/20080927/p1
ttp://d.hatena.ne.jp/arn/20080927
ttp://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20080930
ttp://www.ichigobbs.net/cgi/15bbs/economy/1323/339-

ttp://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20081003/p1
ttp://d.hatena.ne.jp/himaginary/20081004/deposit_rate_hike
↑より引用
「自民も民主も同じくらいバカ」というのは、上記で
「皮肉な状況」と書いたのと同じことを指していると思う。
ただ、市場主義者が確信犯的にそれを目指している「バカ」なのに対し、
民主党は意図せずしてその状況を生み出そうとしている「バカ」という点で、
その上に「アホ」と「マヌケ」も付け加わるような気もする。



681 名前:慶応 ◆Keioe6FD3k [sage] 投稿日:2008/10/04(土) 19:46:34 id:gli5WlT8
658を見ましたが、私も枝野さんは、
経済政策の基本とは違うことを言っているような気がします

不況下では金融緩和がセオリーだと思います
枝野さんは何か別な意図があっていったのかどうか、よくわかりません


733 名前:無党派さん[sage] 投稿日:2008/10/04(土) 20:01:08 id:FgGIh1c2
>>658
 この指摘は、経済学的にはおおむね正しい。民主党は、金融政策に疎すぎるのは事実。

 ただ、政権とったら経済金融政策は柔軟に対応するんじゃないか、というのが予想。

 小泉竹中の例でいえば、不良債権処理の竹中・木村ショック・ハードランディング路線で株価が暴落したのに慌てて、
りそな救済(不良債権処理とは逆方向)に大きく舵をきって成功したにも関わらず、いつの間にか「不良債権処理で小泉
竹中は日本を救った」なんて評価が確立している事例もある。


766 名前:無党派さん 投稿日:2008/10/04(土) 20:07:50 ID:MRXc0txO
>>681
簡単に言うと、定期預金の利子で生活が下支え出来る実感が沸くと、気持ちが大きくなって日常の財布のヒモが緩むという理屈だったと思う。
ゼロ利子だと投資のやり方を知らない人は、ただ金をストックしてしまう。投資出来るごく一部の人だけバブル的な稼ぎ方をするから格差が開く、という理屈。

借金は悪という日本人の気質に利下げの金融政策は弱い物イジメにしかならんってことでは。


793 名前:無党派さん[sage] 投稿日:2008/10/04(土) 20:15:03 id:FgGIh1c2
>>766
定期預金の金利上げるためには
→銀行の収益を上げる必要がある
→貸し出し金利を上げる必要がある
→資金繰りに困る中小企業がもっと困る

というわけで、「貸し出し金利が上がってもなお企業がカネを借りたい!」と思うほど景気を上げるまでは(需要が
活発になるまでは)、金利は低いままの方がよろしいと思われ、預金の金利だけ上げることはありえないと思われます。


815 名前:無党派さん 投稿日:2008/10/04(土) 20:19:39 id:MRXc0txO
>>793
銀行は血税で立ち直ったんだから、個人向け預金利子は出血大サービスしろという話だったはず。
ゼロ金利時代にお前らどんだけ貸し出し利息で儲けたんだ、役員報酬削って吐き出せ! という主張。朝生でも蓮芳と辻元しか支持してなかったがw

要は、枝野氏は経済学無視の暴論を「銀行いじめで庶民受けを狙おう」というスタンスで発言しているということらしい。まあ、政局的には有効な発言なのかもしれんけど・・・・

でもまあ、今議員板は民主党支持者が主流になってるようだけど、おかしなものにはおかしいと言う姿勢が維持されているようで、これはいいなあと思いました。

>>733の人の言うとおり、政権を取ったらある程度は柔軟に対処するんじゃないかという気もするし、それを期待するしかないですね(ぶっちゃけ、自民も経済学にのっとった議論をしているかと言うとそうとも言えない部分があるし。政権与党であるかどうかの差なのかもしれない)。


しかし、郵政選挙の時の政権公約を改めて見たけど、「これはひどい」としか言いようがないですね・・・・

http://www.jimin.jp/jimin/jimin/2005_seisaku/120yakusoku/zu.html

これ見たら、郵政改革で日本の抱えてる問題がすべて解決されるみたいな書きぶりだけど、いくらなんでもこれは言いすぎでしょう。民営化前の郵政ってどんだけすごい悪の組織だったんですか。これで自民大勝って、あとから見れば不思議としか言いようがない。しかも、これで議席獲得した後に造反議員復党させちゃ、詐欺と言われてもしょうがないですよね。


まあ、こんなもん本気で信じる国民の方がどうかしてると言われたらそうかも知れんけど・・・・でも本気で信じてなくて半信半疑の人が多数だったとしても、小選挙区制のもとではちょっとした風がおおきな議席数の差につながるようだしな・・・。


小泉氏は郵政改革については前々からの持論だというのがよく周知されてたし、切り札として有効に機能したんだと思う。


郵政民営化という切り札を使った上、頼みの綱のブッシュもレームダック、米国経済もボロボロではもう小泉氏の出番はなかったし、チルドレンの面倒も見ず、後任の首相が自分の政権下の政策で難局に陥っても自分は矢面に立とうとせず。挙句の果てには関東の某大学を卒業した息子に世襲(米国に留学したとか、シンクタンクに勤めたとか、コネの匂いがちょっと・・・)。なんだかなあ、と言う感じが拭えない。パフォーマンスが上手いのも政治家の能力のうちだし、功がないとは思ってませんけど。


でもまあ、「小泉再登板で株価回復」という書き込みにイラっとさせられることもなくなるのは助かる(改革路線が後退したから外資が日本売りしてるとか。今となっては外資の方が自分の足もとが危ないし、日本株に限らずリスク資産を売ってキャッシュ確保してるというのが妥当な線だろう)。信者もほとんどいなくなったようだし、日経も、もう「功」の部分だけ強調するのを諦めたようですし。