「アベノミクス」=「ミンシュノミクスからの解放」?
遅ればせながら、皆様あけましておめでとうございます。
年明けなので、久々に日米株価のグラフを更新してみました。
日本株の急騰が余りに目覚ましくてあんまり意識してなかったが、2013年は米株も絶好調だったらしく日本株、米株両方とも急騰しているので、アベノミクス独自の株価の影響と言うのは意外に見えてこない。
そこで、野田元首相が解散に言及した2012年11月の株価水準を100として、日米株価の推移を見てみた。
こうしてみると、やはり野田元首相が解散を口にしてからの日本株の上昇は米株を大きく上回っており、安倍首相による金融緩和・円高是正を目指す政策は正しかったのだろうとは思う。しかし、これは結局のところ「民主党−白川枢軸」を打倒したことによる「正常への回帰」でしかなく、それ以上でもそれ以下でもないのかもしれない。
このブログでも何回か言及してきたとおり、民主党執行部の経済政策はデフレ円高を容認ないしもしくは推奨しかねないものであり、ごく普通の教科書的な経済学からすると相当に違和感があるものであった。その民主党の後押しにより、混乱の末に総裁就任した白川前総裁も、デフレ脱却に積極的な総裁とは言えなかった。これらの「重石」がとれれば、明らかにリーマンショック後の株価回復から取り残されていた日本株が上昇するのはある意味当たり前ともいえる。
<参考記事>
日銀のゼロ金利政策解除後の金融政策 Part19(経済過去ログ)
なにより気がかりなのは、アベノミクスのキーパーソンである黒田総裁が就任して以降は、ほぼ日本株と米株は同等の上昇率だということ。つまり、アベノミクス第一の矢である金融政策を放ったところでもうそれ以上は米株に対して上昇率での優位性はなく、単に追随しているだけとなっているということである。かつての水準から考えると、TOPIXとS&P500は同程度の水準にあっておかしくないにも関わらず、差が全然縮まっていない。
おそらく、金融政策の効果については黒田総裁就任までに織り込まれてしまい、そのほかの矢については特に日本株を海外市場よりさらに伸ばす要因としては考えられていないと見られている可能性が高い。今後消費税増税と言う明らかな景気下押し要因があることを考えれば、どちらかと言えば今後の先行きについてはあまり楽観を許さない可能性が高いのではないか?
もちろん、民主党政権と違って日本経済の足を引っ張ることはないと思うし、おそらく自民党の中でも安倍首相以外でここまで鮮やかな金融政策のレジームチェンジを行える人はいなかったと思うので、しばらくは安倍政権を支持するつもりではあるものの・・・。
FRBが金融緩和縮小の姿勢を見せているので、相対的に円安が進み、株価は堅調と言う予想が多いようだが、それとてFRBが適切に緩和縮小ができればの話で、もしイエレンがしくじったりしたら、あるいは・・・?
結局、米国市場に依存する構造はそんなに変わってないと思う。良くも悪くもショーマンシップたっぷりで政権末期に詐欺的に期待を膨らませて株価を米株の上昇率以上に上げていった小泉元首相みたいな芸当は安倍首相にはできまい(そんなことしなくていいと思うけど)。
ある意味、昨年末の靖国参拝と米国の「失望」は象徴的な出来事になるのかもしれない。好むと好まざるにかかわらず、米国は今現在の世界で唯一の超大国である。安倍首相には、総裁復帰後・ねじれ解消前の現実主義的な姿勢を再度思い出してもらえればいいのになあ、と思う。もう、第一次政権時の失敗は忘れてしまったのだろうか・・・?