KJ-monasouken’s diary

昔「モナー総研」と言うスレ紹介ブログやってた人のブログ。いまはTwitterの活動がメイン。

空気読まずに書いてみる。

美談で収めておいたほうがいいんだろうが、何か叩く必要のないとこまで叩かれているような気もするので書いてみる。

痛いニュース:【京都】 「いじめ許さん」 児童全員のほおを平手打ちの体罰 辞表の先生、保護者が慰留
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/986486.html

【京都】 「いじめ許さん」 児童全員のほおを平手打ちの体罰 辞表の先生、保護者が慰留
1 名前:うし☆すたφ ★ 投稿日:2007/06/09(土) 10:12:30 ID:???0
「いじめ許さん」全員に体罰 辞表の先生、保護者が慰留 京都
体罰を加えたことをわびる教諭に、教諭の熱意を正面から受け止めた児童と保護者。
京都府京丹後市の市立小学校で、「クラスメートへのからかいをやめなかった」とクラス全員に体罰をした男性教諭(28)が辞表を提出した。しかし、保護者のほぼ全員が辞職の撤回を求める署名を提出。思いとどまった教諭は謹慎処分が解けた8日、児童らと互いに謝罪し、きずなを深めたという。市教委は「近年、学校に理不尽な要求をする保護者が増える中、教諭の熱意が通じたのでは」としている。


市教委などによると、教諭のクラスでは1人の男児の外見を一部児童がからかい、他の児童も黙認する状態だった。教諭は「(次にからかったら)みんなをたたいて教師を辞める」と注意したが、今月4日、再びからかいがあったため、「ここで放置すると、いじめに発展しかねない」と判断、からかわれた男児を除く全員のほおを平手打ちした。
報告を受けた校長は同日夜、保護者らを集め、教諭とともに謝罪。3日間の自宅謹慎を命じられた教諭は辞表を出した。ところが、寛大な処分を求める署名運動が保護者の間で始まり、全校の児童191人の保護者ほぼ全員分の署名が学校に提出された。
http://www.sankei-kansai.com/01_syakai/sya060903.htm

その後、教諭が二度と体罰をしない意思を示したため、校長は辞表を返却。謹慎処分が解けた8日、うつむいてわびる教諭に、児童たちも泣きながら「私たちが悪かった」と謝ったという。


引野恒司・同市教育長は「学校に理不尽な要求をする保護者も少なくない風潮なのに、教諭の行為を熱意ととらえ、署名運動まで起きるとは驚いている」とした上で、「体罰の事実は事実なので、子供や保護者の心情を受け止めた上で適正に処分はする」としている。


森毅・京都大名誉教授の話 「熱心だから体罰が許されるという話ではない。
教師が体罰をするなら辞めるしかないと思うし、保護者らはそれを非難するにしても支持するにしても、もう少し学校と冷静に付き合う手だてがあるのでは」
http://www.sankei-kansai.com/01_syakai/sya060903.htm

最初は、いい話だと思ったし、実際いい話なんだけど、最後の森毅氏の発言が空気読めとかどうこう言われてるのがなんとなくひっかかった。


森先生と言えば、以前ネタにしたこともあるけどリンク先で言われてるような日教組の手先とかそんな感じの人では全然なくて、むしろ柔軟性に富んだ飄々とした人のイメージがあったので、それほど強くここの教師を批判する意図があったわけではなく「まあ、原則的に体罰は良くないし、もう少しやりようがなかったんかなあ・・・」と言う程度のニュアンスで言ったのではないかと言う気がしてならない。


それに、「教師が体罰を振るっただけで首になる今の教育現場は狂ってる。日教組はどうしようもない」と言うような話もなんか違うような・・・・


そもそも、記事読む限り別にクビにされそうになったわけじゃなく、三日間自宅謹慎になったところ、自分で辞表を出したという話である。

で、本当に辞表を出す必要があったのだろうかと言うのが気になって、調べてみた。

体罰」データベース
http://www7.atwiki.jp/kyouiku_hiroba/


兵庫県尼崎市立中学校(2006.3.6)
http://www7.atwiki.jp/kyouiku_hiroba/pages/285.html

兵庫県尼崎市立中学校でバレーボール部の顧問を務めていた男性教諭(41)は2006年3月6日の部活動指導中、2年生の男子生徒に対して「恐怖心に打ち勝ち、ボールから目をそらさないようにする練習」と称して、約50センチの至近距離から生徒の顔面をめがけて数十回バレーボールを投げつけた。


練習終了後に生徒の異変に気付いた教諭は、生徒を病院に搬送。生徒は脳内出血と診断され、8週間の入院加療を要する重傷を負った。生徒に後遺症は残らなかったという。


教諭は兵庫県教育委員会の調査に対して、「集中力を欠いてミスした生徒を対象に以前からしていた練習」などと説明したという。教諭は事件直後にバレーボール顧問を辞任。


兵庫県教育委員会は2006年10月13日、教諭を停職1ヶ月の処分にした。

北海道・駒大苫小牧高校 野球部長の暴力(2005)
http://www7.atwiki.jp/kyouiku_hiroba/pages/161.html

概要
第86回・87回全国高校野球選手権大会(2004年〜05年)に南北海道代表として出場して大会連覇を果たした、北海道苫小牧市の私立駒澤大学附属苫小牧高校の野球部で、同校教諭のC野球部長(27)が、2度にわたって同じ野球部員に暴力を加えていたことが、2005年8月に発覚した。被害にあった部員は、甲子園ではベンチ入りしていないという。


学校側の対応
駒大苫小牧高校と学校法人駒澤大学は8月31日、関係教職員の処分を発表。暴力を加えた野球部長は、譴責と部長職から解任の上、20日間の出勤停止処分。校長についても、譴責の上20日間の出勤停止処分にした。また、野球部監督についても、譴責の上減給処分。副校長・教頭らも譴責処分。


広島県竹原市立中通小学校(2005.6.3)
http://www7.atwiki.jp/kyouiku_hiroba/pages/308.html

広島県竹原市立中通小学校で4年生を担任していた男性教諭・池田伸一(45)は2005年6月3日、「男児らが教室で遊んでいて、別の女児にぶつかった」などとして、関係した児童を注意。


その際池田は、1人の男子児童・Aくんの態度が気に入らなかったとして激高。直前の理科の授業で果物を切るために使用した包丁を持ち出し、包丁を約15センチの至近距離からAくんに突きつけた。この事件はAくんのほか、多数の児童が目撃していたという。目撃した児童の一人が大声で叫んだため、池田は我に返って包丁を突きつけるのをやめたという。Aくんやほかの児童にけがはなかった。



池田はこの件について「カッとなって包丁を突きつけた。大声で叫んだ児童がいなければ、どうなっていたか分からない」と、すなわち刺していたかもしれないという趣旨を、事件直後に話していたという。



包丁を突きつけられたAくんは、事件をきっかけに強い心身症状が出るようになったという。



当時の松田正文校長は事件を1週間ほど放置。また池田は、2005年7月中旬に問題が地元紙に報道されると「精神疾患」を理由に休職。



広島県教育委員会は2005年8月12日付で、池田を停職3ヶ月の処分にした。また「速やかな報告を怠った」などとして、松田校長も戒告処分。

ごらんの通り、ここまでひどい事件ですら停職どまりで、誰一人として免職になっていない。ましてや今回の京都の事例は「いじめを回避する」と言う正当な目的があった上に平手打ち。おそらく怪我人もいないだろう。多分、学校も校長も辞めさせる気なんか全くなかったのでは・・?


一応、こういう状況もあるということを前提にして考えると、別に森先生が体罰を否定するのもそんなに変ではなく、むしろ当然のこと。もちろん話をきちんと聞けば今回の京都のケースは誉められるべき点も多いが、森先生がどこまで詳しく話を聞いたうえでコメントしたのか、誰もわからない。


例えば、上記の体罰記事の後に森毅のコメントを追加していたら、「安易に体罰を振るわない森毅は教育者の鑑」と言う意見が相当数出てきたのではないか?「美談」の後に追加するなら不要だが、一般論としたらそんなに変ではないということである。そして、「空気読んで」言うことをフラフラ変える人に意見を求めてもしょうがないんじゃないだろうか・・・?(また、おそらく彼は原点に立ち返った話をしているだけで、本当に硬直的な人からは「非難するにしても支持するにしても」と言う双方の立場をある程度は認める趣旨の発言は決して出てこないだろう、と言うことも意識されたい)


もちろん、いじめ(と言うか、まだその前兆くらいであるが・・・)に全力で取り組んだこの先生は偉いし、いざと言うときの覚悟までしてやったというのも前述の体罰教師たちとは全然違うし、立派ではある。


ただ・・・・


私には子供は居ないが、保護者だったとしてどうするだろうか。もちろん、寛大な処分を求める署名には喜んで署名するだろう。
しかし、「何も、平手打ちくらいで辞めなくてもなあ・・・・」とクビをかしげながら署名するような気もする。


辞任覚悟でやったのが感動的だといわれれば確かにそうなのかもしれないけど、普通の会社で新入社員(でもないけど、この先生)がミスを犯した翌日に辞表を持ってきたとしたら・・・?


日教組がどうとか、DQN保護者とかいろいろあんのかもしれないけど・・・・今回のケースはみんな学校も保護者も生徒も常識的な普通の行動で、先生が一番突っ走ってるようにも見える。なんか、今の時代教師もエラいストレスを感じているんだろうなあ、と別な意味で歪みを感じた次第です。


いや、いい先生だと思いますけどね。それは間違いないと思います。教師といえども人間で、あれもこれも全て完璧にこなしてどこからも文句が出ないようにしろ、と言うのは無理な話で、その意味で少なくとも熱意が感じられるのは素晴らしいことには違いないですから。


※追記

改めて考えると、この先生は、むしろひどく「体罰なれ」していない印象を受ける。昔から(というか、昔は、か?)体罰をする教師は居たが、大体は特に問題のある生徒だけを対象にするとか、実際に手を上げる前に怒鳴りつけるとかするものである。教育の一手段として考えるなら、より有効な手段を考えるものだから。嫌な言い方だが、生徒を威圧するのが目的なら、その方が「効率的」だし。


いきなり「みんなを叩いて自分も辞める」と宣言したり、全員を平手打ちしたり、行動が妙に芝居がかっていて極端である。もしかしたら、普段は体罰など考えたこともないような人だったので、やりつけないことをやるに当たってテンションが上がってしまったのでは・・・・?


冷静に考えれば、上の例にあるとおり大した処罰になるはずもないのに自分から辞表を出したりするのも、そういう視点で考えるとあり得るような気も。おそらく、報告も自分で校長にしたのではないか。保護者はわざわざ署名活動して引きとめるくらいだから、そんなに問題視して学校にクレームをつけたりはしてないだろう。

まあ、そういう先生がここまで極端な行動を取ったからこそ生徒も心動かされたのかなあ、とも思うし(この件に限定すれば)結果オーライですね。中学時分とか、体罰を振るう先生は怖くはあったけど、あんまり尊敬は出来なかったし。本当に堪えるのは普段は優しい先生が怒り出したときでしたし。


正直、汚れた大人の世界に住む私としては、「何も、ここまで思いつめた行動取らなくてもなあ・・・」とは思うし、なんか危なっかしい気もするけど、教育者としてはアリでしょう。


少なくとも、何の痛みも感じないで体罰が出来るような人よりはいいと思う。


スクールウォーズだって、泣き虫先生が泣いてるから意味があるわけで。


その意味からすると、この先生の葛藤とかを何も考えずに単純な体罰肯定論の論拠にこの話を使うのは、何か、違うような気も・・・・


どっちかと言うと、この先生こそが森毅の言う「教師が体罰をするなら辞めるしかない」の実践者のようにも思えるんだが・・・


おそらく、それだけの覚悟を持っていたからこそ、体罰と言うイレギュラーな手段でも生徒の心を動かせたと。


そして、これがあまりに美談として祭り上げられると、この先生としてもかえってしんどくなりそうな気もする。


その辺の事情を考慮して、森毅が保護者に「冷静に付き合って欲しい」といっているなら全面的に同意するところだが・・・・


実際のところ、どうなんでしょうね。


※さらに追記


ついでに文部科学省のソースも。

平成17年度 教育職員に係る懲戒処分等の状況について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/12/06121205.htm


体罰にかかる懲戒処分
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/12/06121205/004.pdf


これを見る限り、平成17年度に体罰が原因で懲戒免職になった教師は一人も居ません。

諭旨免職が1人、停職が18人ですが、いずれも殴る蹴るの暴行の末、打撲傷などを負わせた相当に悪質なもの。

「今の教師は平手打ちした時点で懲戒免職」なんて状況にあるとは思えませんが・・・