KJ-monasouken’s diary

昔「モナー総研」と言うスレ紹介ブログやってた人のブログ。いまはTwitterの活動がメイン。

「ネット」と「現実」はそもそも一致するものなのだろうか?


先日の「民主党議員のデンパ発言」スレのエントリがhotentry化していささか驚いています。


概ね、民主党議員の発言に対しては私と同じく「ありえない」と感じた方が多かったように見えましたが、批判的なスタンスでトラックバックしていただいた方もおられたので、一応それに対するお答えをしておきたいと思います。


相谷さんの一言:【質問】 「ネットの意見」と「現実の出来事」に、決定的な“ズレ”が生じた場合はどうしたらいいんでしょう?
http://d.hatena.ne.jp/aitanisan/20090909/1252498832

◎ 【ミンス終了】国民の60% 「民主党政権はすぐ終わる」 - (´A`)<咳をしてもゆとり
民主党議員のデンパ発言(マクロ経済)を晒すスレ(経済) - MRIモナー総研HD)


 正直この2つの記事に共通して思うのは、「最近の2chやネットは、『“真実”を伝える、あるいはその出来事が“真実”であるかどうか議論する』という場になっていない」のではないか。もっと言うと、「自分達の思いどおりに動いてくれない『民主党』や『マスコミ』に対して、2chやネットが“罵言”を吐く場になっている」のではないのか。という事だったりする。



 そりゃ「もっと現実を見やがれ、馬鹿野郎!」と書くのは簡単なんだけど、どうも最近はそれを書くのでさえ『空しさ』を感じてしまったという感じなのである。

「咳をしてもゆとり」の方は正直あんまり良く読んでもいないので、とりあえず自分の記事についてだけ書きます。

まず、先日の記事が単純な民主党ネガキャン記事のようにとられたのなら、それは違います、と述べておきたいと思います。


件の記事のすぐ下は昔書いたエントリの再掲なのですが、どちらかと言うと小泉カイカクに対して批判的ですし、その前の記事はむしろ民主党に好意的で、自民党を叩いています。うちのブログは何でもかんでも自民党を支持し民主党を叩くというスタンスでは全くありません。特に、いわゆるネトウヨ層に対しては好意的な記事を書いた記憶がほとんどありません。


民主党に対しては、恐らくは世襲まみれの自民党よりは志の高い人の比率が高いだろうとは思っています。たぶん、個別の政策には良いものもあるでしょう。先日の記事を書いたのは、民主党の有力議員の中に、あり得ないレベルでの経済学無視の妄言を吐く人がいて、看過できないと思ったからです。きちんとまともな経済学に則った発言をしてくれるなら、民主党支持に変わる可能性は高いのですがね。特に、私は東京一区の住人で、与謝野馨氏の選挙区ですし・・・・


民主党議員の何がおかしいか、ですが、例えばこれ。

51 名前:金持ち名無しさん、貧乏名無しさん[] 投稿日:2009/09/03(木) 22:48:07

【ソウル=水内茂幸】民主党仙谷由人政調会長は10日、ソウル市内で記者団に対し、日本銀行福井俊彦総裁

の後継に武藤敏郎副総裁の昇格が有力視されていることについて「5年続いた福井総裁時代の金融政策を総括したら、

続けて総裁に押し上げる論理にならない」と述べ、否定的な見解を示した。

 仙谷氏は反対する理由として、超低金利政策によって国民の利子所得を奪いながら内需拡大を掲げるなど、これまで

の金融政策が整合性に欠けると指摘した。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080210/stt0802102017004-n1.htm


この人の名前は日銀総裁選任時にたびたび出てきましたが、根本的に金融政策に対する理解が間違っているように思えます。


日本の金融政策の総本山、日本銀行の子供向けコンテンツにこういうのがあります。

にちぎん☆キッズ/ニチギンマンのきんゆうせいさく
http://www3.boj.or.jp/kids/matome/resume10.html

景気がわるいときは、買いたい人が少ないので、モノのねだんは下がります。モノのねだんが下がると、同じ金額でたくさん買い物ができていいことのように思えますが、景気がますますわるくなって、お店や会社の経営がくるしくなり、そこではたらく人々のお給料もへって…よくないのでしたね。


 デフレのとき、日本銀行は、銀行などの手持ちのお金をふやすそうさをします。


 銀行の手持ちのお金がふえると、金利が下がります。


 金利が下がると、借り賃が安くなってお金を返すのが楽になるので、お金を借りる人はふえます。お金を借りて工場を建てたり、家を建てたりすることもふえますね。


 また、金利が低くなれば、銀行にあずけておいても利子が少ししかつかないので、お金をおろして使う人がふえるかもしれません。


 このように金利が低くなると、モノの売り買いやお金の動きが少しずつ活発になって、モノのねだんが下がりにくくなるのです。

中学・高校の社会科でもこう習うと思います。別に、大学レベルの経済学なんか必要ありません。ほとんど義務教育レベルでは?


不景気時に低金利政策をするのは当然のことで、内需拡大に反することとは思えないのですが・・・・


それに、金利が上がり利子所得が増えて喜ぶ人と言えば、すでに銀行預金をたくさん持ってるようなお金持ちですよね。この人は金持ちをますます金持ちにしたいのでしょうか?こういう人が日銀総裁の選任に深くかかわったという事実自体、悪い冗談かと・・・・


先日の記事で紹介したスレは確かに表現は辛辣ですが、民主党議員の経済学に対する無理解については正しい指摘をしているレスが少なからずあったと思います。当該スレが「『“真実”を伝える、あるいはその出来事が“真実”であるかどうか議論する』という場になっていない」ように見えたのは、少なくとも金融政策に関する発言では議論の余地がないほど民主党議員の発言がおかしいからでは?


むしろ、「いや、民主党議員の意見は一見経済学のセオリーに反するように見えるが、実はこういう理由によって間違っていないのだ」ということをきちんと説明してくれる方がいればぜひお伺いしたいと思っています。「経済学の基本がわかっていない連中が政権与党の中枢を占めることになる」という(私の考える)現実より、そちらの方がはるかに私にとっては望ましい状態ですから・・・・


さて、私の先日の記事に関しては以上のようなところですが、トラックバックしていただいた相谷さんは次のような質問を(私に対してというわけではなく、読者全体に対して)投げかけておられますので、せっかくなのでこれについても回答させていただきたいと思います。


● あなたは「ネットの意見」と「現実の出来事」に“ズレ”を感じた事はありますか?
● 「感じた事がある」と答えた方に質問します。ではその“ズレ”に対して、どのように「折り合い」をつけていますか? できればその方法を教えてください。

まず、私の場合、「ネットの意見」と「現実の出来事」と言うのが一致すべきものと考えたことがあまりありません。


もしかしたら、小さいころからネットが当たり前のように存在するような世代の人とは感覚が違うのかも知れませんけど、私くらいの年だと、パソコンやネットと言うのはそもそもちょっと変わったオタクっぽい人がのめり込むようなもので、世間一般の意見を代表するようなものとは最初から思われてなかったような気がします。むしろ、「ちょっと変わってるけど面白い意見」を読むためにネットを見るような感じかと。


また、同じ人でもネットとリアルの顔を使い分けている例も多数あると思います。私自身、ブログではいろいろ書いてるけど、リアルで政治経済に関する話はほとんどしません。


なので、質問に対する回答としては「ズレがあると言えばそうかも知れませんけど、そもそもズレなんかあって当然だし、それに特にストレスも感じないので折り合いをつける必要も感じません」というところでしょうか。


また、「ネットの意見」と「現実の出来事」という言葉自体がそもそも何を指すのかもちょっと良く分からない面があります。


まさか、「民主党が選挙で大勝したのは現実の出来事なんだから、ネットの上でも批判的意見を言うことは許されない」ということを言われているわけではないと思いますが。それであれば、郵政選挙の後は民主党支持者は口を開くなという話になりかねませんが、流石にそれもおかしい。


自民党がボロボロだったのは周知の事実だし、民主党政権交代するのも流れとしてしょうがないかなと思いますが、経済学無視の妄言はちょっとどうかと思うし、ブログで溜息をつくことくらい許してほしいなあ、というのが正直な気持ちです。


それに、私のように経済学的な視点から民主党を批判する意見が「ネットの意見」として多数かと言うと、残念ながらそういうわけでもないと思います。紹介したスレも、ニュース速報系の板じゃなくて経済板なので大して伸びていたわけでもありませんし。はてなに多いリフレ系経済ブログの中では同意見の方も多いと思いますが、それがネットの中で多数かと言うと、ちょっと心もとないかなあ、と(現実の世界ではもっと・・・?)。勢いでいえば痛いニュースのようなニュース速報系のコピペブログの方が圧倒的だろうし・・・


それにしても、少なくとも、日銀総裁選任時くらいから同じようなことを書き続けてきてるのに、何で今回突然hotentryになったのか不思議です。やはり良かれ悪しかれ「民主党」に注目が集まっていることの表れでしょうか?政権与党になれば、今まで野党の身なら許されていたことも許されなくなるのは当然あるでしょうね。それだけ責任が増してるわけですから。麻生首相も、首相になってから突然ホテルのバーに行き出したわけではないと思いますが、問題にされたのは首相になってからですよね。責任ある立場の人間が厳しい目で見られるのは自然なことだと思います。