KJ-monasouken’s diary

昔「モナー総研」と言うスレ紹介ブログやってた人のブログ。いまはTwitterの活動がメイン。

政治と株価


本日7月23日の日本経済新聞投資・財務面「政治と株価」より。

相変わらず日経が政治と株をからめて描くグラフは面白いなあ。



この記事につけられた見出しが「長期政権、目立つ株価」と言うのがすごい。


大体、日本で長期政権と呼べるのはここ最近では中曽根政権と小泉政権くらいだろう。中曽根政権はすでに「最近」じゃない気もするし。


中曽根政権はともかく、小泉政権下での騰落率が、決して長期政権ではない小渕政権より低い時点で説得力がまるでない。「中曽根内閣を上回る1980日の長期政権になった小泉内閣も、日経平均は11%上昇している」って、1980日で11%って大したことないじゃないか・・・「中曽根内閣の2.9倍に比べて、あまりにショボイ」と思うだけ。これじゃ、「小泉カイカクってバラマキ小渕以下ですね」としか読めない(実際そうだと思ってるが)。


短期政権の代名詞である、宇野政権、羽田政権がプラスになってるのもスルーですか・・・


以前のように、グラフを恣意的に操作してない分、はるかに良心的になったような気はするけど。「1980日で11%」を「市場も応えた」とは、かつての日経は全くいい度胸をしていたものである。


結局、このグラフから読み取れることは「日本の首相の任期は全体的に短すぎるので、景気のどの局面で就任するかによって任期中の株価の騰落率なんかほとんど決まってしまう」ということだと思う。


確かに、本当に長期的視点にたって経済政策を進めれば、その果実を株価で確認できるということも考えられなくはないが、そもそも首相の任期が短すぎで一貫性のある政策なんぞ無理。となればその時点で世界経済がどの局面にあるかの方がはるかに株価に影響を与えるだろう。


何回か連載記事でやるつもりらしいが、そもそも無理があるテーマでどんな論理の飛躍を見せてくれるのかとても楽しみです。


個人的には、どちらかと言うと長期政権→株価上昇というより株価上昇→長期政権という因果関係の方が強く働いているような気がしてならない。株価が回復するということは景気回復局面ということだし、そうなれば政権支持率も上がり長期政権になるチャンスも広がろうというものである。


最近の首相で株価上昇局面に当たった幸運な首相と言えば小渕首相だが、もともとが低支持率から始まったとはいえ支持率はじわじわと上がっていたように思う。病気で亡くならなければもう少し長くやれていたと思う・・・と言っても森首相の分が小渕首相に行くだけかもしれないけど。(もともと、彼の場合経済がボロボロの時期に首相に就任してるし、実は株価的には見事に底を拾う形(グラフ参照)になっている。なりふり構わぬバラマキ型の政策も短期的には十分意味があったと思う。不景気時にバラマキを躊躇するのは火事の際に家財道具が濡れるのを嫌がって水をかけないのと同じようなものではないかと。もちろんそれがずっと続けばまずいけど。)


ところで、総選挙後は民主党中心の政権が誕生することになりそうですが、世界経済が回復傾向を見せてるし、民主党にとってはどうやらいいタイミングでの政権交代になりそうですね。


中学レベルの経済学を無視する党が、調子に乗ってかつての小泉カイカクのごとくナンセンスな行動をとりそうな気をしてなりませんが・・・・
政権与党になって、現実的な路線に乗ってくれることを期待するくらいしかないですなあ。


※しかし、改めて見るとバブル期以降の首相の全体的な株価騰落率の低さに悲しくなる。バブル期の株価が異常だって言えばそうかも知れないけど、そのあとから首相の任期が平均的に短くなり、ころころ首相が変わるようになった気もしないでもない。一貫した経済政策が打てないという点では、悪循環に陥っているようにも見える。

景気が悪ければ政府に当たりたくなるものだけど、いろんな銘柄をとっかえひっかえしてどんどんドツボにハマっていく投資の失敗例にも似ている。下手すると「株価なんかより、清潔で見栄えのいい政治家がいいんだ。」とか言いだす人もいそうだし。(実際、小泉政権下の株価下落期にはこういうことを言う人をネットで見かけた。経済活動全体に関わってくる事柄だから、他人事ではあり得ないと思うんだが)


この記事の締めは「市場が政治の安定を望むのは、いつの時代も共通している」とある。あんまり、扇動的な報道に乗ってひどく狭いテーマで有権者が右往左往する傾向はなんとかならんものかなあ、とは私も思う。