KJ-monasouken’s diary

昔「モナー総研」と言うスレ紹介ブログやってた人のブログ。いまはTwitterの活動がメイン。

とりあえず株価と犯罪件数の関係をグラフにしてみた。

前回の記事の続き。

世の中には一定量の異常者が存在しますし、完全に排除することはほぼ不可能かと思います(もちろん、それに向けて最大限努力すべきですが)。ただ、ウイルスを取りこんでも体調のいい時は風邪をひかないようなもので、社会全体の景気が良くなれば犯罪はほぼ間違いなく減ると思いますね。

と、書いていたわけですが、実際のところどうなのかと言うことでグラフにしてみました。

データ元は、少年犯罪データベースドア警察庁HP、株価データは東証から。

通り魔殺人件数は年によってカクカクしてて傾向が見にくいので、前後2年ずつを合わせてとった平均値のグラフも重ねてみました。
また、TOPIXはピンク色の線ですが、軸を反転させているので株価が高いほど下にいくことになります。


さて、「年間10件程度のデータをサンプルとして上手く相関が見れるだろうか?」と思っていたのですが、結構連動しているように見えないでしょうか?

昭和末期はまだ比較的通り魔件数が多かったようですが、平成元年くらいに株価が頂点をつけた後、平成3年〜5年くらいに通り魔件数は底をつけています。そのあと、バブルが崩壊して株価が低迷期に入ってからしばらくたつと、通り魔件数もじわじわと増えた、というような流れと言って良いでしょう。平成15年くらいに株価が反転したのとほぼ同時期に通り魔件数の増加が止まり、横ばいないし若干の減少になっているのも興味深い。


基本的に、株価は実体経済より少し先行して動くと考えられますので、株式市場のバブルが崩壊して数年間はバブルの余熱が残っており、それが平成3年〜平成5年の平和な世の中につながった、と言えるのかも知れません。


通り魔件数だけで世の中を語るのも不自然なので、いわゆる重要犯罪(殺人、強盗、放火、強姦の凶悪犯に略取誘拐・人身売買、強制わいせつを加えたものをいう。警察庁HPより)と株価についてのグラフも作ってみました。これは古いデータは見つからなかったので平成7年以降のデータで。

これを見ると、平成15年くらいまでは重要犯罪の件数が増えているので、「最近、治安が悪くなった」と感じる人が増えるのはそんなに間違ってないのかもしれません。ただ、平成14年を底として株価が反転してしばらくすると、重要犯罪の件数も減っています。
平成11年は株価が上がっている割に犯罪は増えてますが、これは確かいわゆるITバブルのころで、株価は上がったけれども潤ったのは一部の人だけで景気回復の広がりが乏しく、世間一般の実体経済はそんなに良くなかったということかも知れません。


さて、この数値を最終的にどのように解釈するかは読者の皆様にお任せ致しますが、私の見解では「懐が暖かくなればわざわざ犯罪など犯さない」と言うのは直感的には当然すぎるほど当然な理屈のように思えますし、データ的にもそれと整合的な結果が見えると言えるのではないかと思います。


特に、今回の秋葉原の事件では雇用をめぐるトラブルが直接の引き金になっているわけです。トヨタ系列の会社だったそうですが、グローバル企業であるトヨタ(及びその系列)の経営方針は当然世界経済の動きをみて決定されるわけで、こういう視点を無視するのはむしろ不自然ではないかと。


教育論や世代論、オタク文化論で語ることに意味がないとまでは言いませんが、犯罪そのものの解釈を行う上で最重要のファクターを無視して寄り道しているような気がしてならないのですよ。


格差社会論で語るのはまだ比較的納得できるかな、とも思いますが、今回の事件の容疑者は動機、行動ともに同情の余地が感じられないので、「格差社会の被害者」に仕立て上げるのがどうしても釈然としないのですね。欧米に比べればまだ日本は格差が少ない方だと思いますし・・・


まあ、世界的な経済の動向って言うのはすでに台風とか地震みたいに自然現象に近い存在で、一国の政府だけでどうにもなるものでないからわざわざ議論にしない、ってことかも知れませんけど。そんな話、センセーショナルにもしずらいしテレビ的にもつまんないでしょうしね。


また、以前の記事でも言及しましたが、日本の景気は結局のところ米国を中心とする海外経済の動向で決まってしまうように思えます。日本の治安の動向もバーナンキの腕次第・・・・と言うのはあながちあり得ない理屈でもないのかも知れません。