KJ-monasouken’s diary

昔「モナー総研」と言うスレ紹介ブログやってた人のブログ。いまはTwitterの活動がメイン。

日興証券に関する記事スクラップ。

基本的に、「外資の陰謀だ!政府の陰謀だ!終わってるぜ美しい国日本」と言う陰謀論を取りたくはないわけですが、自分も上場維持の決定に関する流れについては今ひとつ釈然としないので、とりあえず監理ポスト入りしてからの流れをチェックしてみる。

ソースはヤフーニュースから。

12月19日 利益水増し 日興に5億円課徴金 監視委勧告 担当役員が引責辞任(産経)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061219-00000001-san-bus_all

 証券取引等監視委員会は18日、東証1部上場の証券大手、日興コーディアルグループに対して課徴金の支払いを命じるよう、金融庁に勧告した。日興コーデが平成17年3月期連結決算で利益を水増しした上で、同年11月に500億円の資金調達を行ったため。課徴金額は5億円と、昨年4月に課徴金制度を導入して以来最大。東証1部上場企業に対する課徴金勧告は初めて。
 監視委が問題視したのは、日興コーデの全額出資子会社である投資会社、日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)と、NPIが全額出資する特定目的会社(SPC)のNPIホールディングス(NPIH)との取引をめぐる会計処理。

 NPIは16年8月、NPIHを介在させて東証1部上場のコールセンター大手、ベルシステム24を買収した。その際、NPIとNPIHの取引でNPIには約187億円の利益、NPIHには同額の損失が発生。本来は損益を相殺しなければならないのに、日興コーデはNPIHを連結決算の対象から外してNPIの利益だけを連結決算に反映、利益を水増した」という。

 これを受けて日興コーデはこの日、有価証券報告書の訂正を発表。777億円としていた17年3月期の連結経常利益を588億円に下方修正した。さらに、経営責任を明確化するため、平野博文取締役が引責辞任するとともに、有村純一社長と金子昌資会長の報酬を半年間50%減額するなどの社内処分も発表した。

 一方、東京、大阪、名古屋の3証券取引所は、日興コーデ株を上場廃止基準に当たる可能性があるとして、同日付で監理ポストに割り当てた。

12月25日日興首脳が引責辞任 利益水増し 新社長に桑島氏
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061225-00000030-san-bus_all

 日興コーディアルグループが平成17年3月期連結決算で利益を水増ししていた問題で、同社は25日午前、取締役会を開催し、有村純一社長(57)と金子昌資会長(67)が引責辞任し、後任の社長に桑島正治取締役(51)が就任する人事を決めた。いずれも26日付。同社はさきにこの問題に対する処分を発表したが、金融庁や投資家などの理解を得られず、東京証券取引所などの監理ポストに割り当てられている同社株も上場廃止となりかねないため、首脳の引責辞任で経営責任を明確化させることにした。

 会見した有村社長は不正会計処理について「一個人のミスではなく、組織としての管理不徹底が原因」と述べた。

 同社は、傘下の投資会社とその子会社の特定目的会社(SPC)との間で16年8月に行われたデリバティブ金融派生商品)取引をめぐり、多額の評価損を抱えたSPCを連結決算の対象から外し、投資会社側の同額の含み益だけを計上し、利益を水増しした。

 この問題で証券取引等監視委員会は今月18日、日興コーデに対して課徴金の支払いを命じるよう、金融庁に勧告している。

 日興コーデも同日、有価証券報告書の訂正と担当役員の辞任、有村社長らの報酬カットを発表したが、投資会社とSPCとの間の取引の際、債券発行で担当社員によるミスがあったことを理由に、SPCを当初連結対象からはずしていたと説明。組織ぐるみの利益水増しとみる監視委との食い違いが表面化した。

 こうした説明と社内処分の内容に対し、山本有二金融担当相が経営陣の進退問題に言及するなど批判が相次いでいた。

2月27日 日興CG、上場廃止の是非めぐる判断材料出揃う(ロイター)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070227-00000835-reu-bus_all

[東京 27日 ロイター] 不正会計問題で揺れる日興コーディアルグループ<8603.T>の上場廃止の是非をめぐる判断材料が出揃った。日興CGはきょう関東財務局に有価証券報告書の訂正報告書を提出、東京証券取引所はその内容を精査した上で最終決断を下す。
 日興CGは旧経営陣に対して損害賠償を請求するなど過去との決別を強調することで上場廃止を回避したい考えだが、同様に不正会計で上場廃止となったカネボウの例をみても、過去との決別が東証の判断に影響を与えないことは明白。過去の事例から、東証の判断基準を検証してみた。
 <不正なければ上場廃止基準に抵触していたケースは上場廃止に>
 東証上場廃止を決断する際に、もっとも重視しているとみられるのが、もし不正をしていなかったら上場廃止基準に抵触していたケースだ。
 東証カネボウ上場廃止を決めた際、理由のひとつとして「同社の債務超過の状況は、本来であれば債務超過に係わる上場廃止基準に該当していた水準にあった」(当時の鶴島琢夫東証社長)と説明。西武鉄道伊豆箱根鉄道の際も、両社が偽っていた大株主の持ち株比率について「上場廃止基準に定める要件に抵触する水準に及ぶなど投資判断の基礎となる重大な情報に誤りがあった」(西武鉄道)、「長期間にわたり、上場廃止基準に抵触する状態にあった」(伊豆箱根鉄道)と指摘した。
 このことから、東証上場廃止を決める背景に「不正をしていてもしていなくても、そもそも上場廃止基準に抵触していた」ことがあることが伺える。
 これは上場廃止を見送った事例をみるとさらに分かりやすい。例えば、名義株の発覚を受けて有価証券報告書を訂正した小田急電鉄<9007.T>グループ4社は、上場廃止基準には直接触れないとして監理ポストへの割り当てを見送ったほか、読売新聞グループ本社の株式保有比率を訂正した日本テレビ放送網<9404.T>も、いったんは監理ポストに割り当てたものの「少数特定者の持ち株比率や株主数などの上場廃止基準に該当していない」(長友英資・東証常務)として、その後、割り当てを解除した。

 とくに小田急の場合は、同社が虚偽記載の問題を把握しながら開示しなかった上、虚偽の説明を繰り返す中で東証に対して適時開示に関する「宣誓書」まで提出するなど、一部で悪質性を指摘されていたにもかかわらず、割り当てを見送った。
 以上の点から、東証上場廃止の理由を説明する際にたびたび登場する「投資者の投資判断を大きく誤らせた」は「上場廃止基準に抵触するため、そもそも投資対象にはなり得なかったのに、投資させてきた」と読み替えることもできそうだ。
 <不正なければ「赤字」も判断基準に、カネボウライブドア
 ただ、これらのケースに当てはまらないのがライブドアだ。東証上場廃止を決めた理由について、1)経常損失であったにもかからわず、多額の経常利益を意図的かつ組織的に計上。これは金額において重大で、また投資者の投資判断にとって重要な情報を故意に偽った点で悪質、2)子会社の株価に影響を及ぼす等の目的で虚偽の事実を公表、あるいは交渉すべき事実を公表しなかった──などと説明したが、明確に上場廃止基準に抵触したわけではなかった。
 もっとも、不正がなければ赤字だったという状況は、東証カネボウの際に「投資者の投資判断を大きく誤らせた」理由として2番目に指摘した「多額の当期純損失を計上すべきところを当期純利益を計上していた」と同じであり、この点では過去の判断基準から大きく逸脱しているわけではない。
 <東証、自主規制機関としての良識が問われる局面>
 日興CGの場合は、カネボウ西武鉄道とは違い、仮に不正会計をしなかったとしても上場廃止基準には抵触せず、またライブドアのように「赤字を黒字にする」状況でもなかった。さらに、再監査を担当するあらた監査法人が訂正報告書の内容について適正意見も出しており、これらから「東証上場廃止にしにくいのではないか」(市場関係者)といった見方が出ている。
 ただ、上場会社に適切な情報開示を指導する立場にある市場仲介者たる証券会社グループが、投資家の信頼を裏切った責任は決して軽くない。
 東証西室泰三社長は8日、財務省で行った記者会見で「世間に対してはっきりと説明できるような理由を持った結論を出したい」と語った。

 米シティグループが日興CGへの出資比率引き上げを模索するなか、実際に上場廃止となればシティが支払う金額も左右する。
 金融庁は、上場廃止がマーケットに大きな混乱を起こすかどうか注視する姿勢を示している。同庁幹部は今回の日興CG問題について、西武鉄道のように株主構成が違ってもともと上場すべきではない話とは違い、「実質判断の入る問題」と指摘。東証については「自主規制機関としての良識が問われる。当局としてどうこう言う話ではなく、その実力のほどを見せて欲しい」と話す。
 最近の金融行政が、取引所や日本証券業協会など自主規制機関の機能強化を重視する姿勢を鮮明にしているだけに、東証は3月中旬に向け、難しい判断を迫られそうだ。

日興コーデ上場問題 旧経営陣に31億円請求 前会長には私財提供(産経)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000002-san-bus_all

 日興コーディアルグループは27日、利益水増し問題をめぐって、有村純一前社長ら旧経営陣3人を相手取り、総額31億円の損害賠償請求訴訟を起こすと発表した。金子昌資前会長には3億円の私財提供を求める。利益を水増しした平成17年3月期と18年3月期の決算については訂正報告書を関東財務局に提出。これまでに公表した以外の不正は見つからず、あらた監査法人が「適正」と判断した。

 旧経営陣への法的責任の追及、決算訂正の提出によって過去との決別を強調し、信頼回復を急ぐ狙いだ。

 日興コーデ株は現在、上場廃止の可能性がある「監理ポスト」に入っており、東京証券取引所は今回提出された訂正報告書などを見極め、3月中旬をめどに上場廃止か維持かを決める。

 損害賠償請求の対象は有村前社長のほか、利益水増しの舞台となったグループ子会社、日興プリンシパル・インベストメンツ平野博文前会長と、当時グループの財務担当だった山本元・元執行役常務。有村前社長の関与については具体的な証拠が出ていないが、「監督責任がある」と判断した。

 31億円の内訳は国庫に支払った課徴金5億円や監査法人報酬、今後のおわび広告など。また、決算訂正に伴う業績連動型報酬の過大分の返還も併せて要請する。一方、刑事告訴については証拠不十分として見送ることを決めた。

2月28日 日興コーデ株の上場廃止、「開示すべき具体的決定ない」=東証(ロイター)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000996-reu-bus_all

[東京 28日 ロイター] 東京証券取引所は、日興コーディアルグループ<8603.T>株を上場廃止にする方向で検討に入ったとの一部報道に関して、現在は審査中で「結論に結びつくような方向性を一切有しておらず、本日の報道は事実誤認と言わざるを得ない」とのコメントを発表した。
 28日付日本経済新聞朝刊が、東証が日興CG株を上場廃止にする方向で最終調整に入ったと報じたことについて東証は、前場の寄り前に「開示すべき具体的な決定を行った事実はない」とのコメントを出した。

 その後、西室泰三社長の名前で追加コメントを出し、「3月中旬をめどに結果を発表できるよう審査を進めている。予断を持たず審査しているため、現時点では結論に結びつくような方向性を一切有しておらず、本日の報道は事実誤認と言わざるを得ない」とし、「結果が得られ次第速やかに発表する予定」と表明した。
 日興CGの不正会計問題をを受け、東証は昨年末、同社株式を監理ポストに割り当てた。
 日興CGは問題となった2005年3月期と06年3月期の決算を修正し、あらた監査法人から適正意見を受けた上で、今月27日には有価証券報告書の訂正届出書をを関東財務局に提出。東証はこれを精査し、3月中旬までに日興CG株の扱いについて決定する予定としている。

3月12日 東証が日興CG株を上場維持、クロとは判断し切れず(ロイター)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070312-00000777-reu-bus_all

[東京 12日 ロイター] 東京証券取引所大阪証券取引所<8697.OJ>は12日、不正会計問題を起こした日興コーディアルグループ<8603.T>の株式について、上場維持を決定したと発表した。3月13日付で監理ポスト割当を解除する。
 東証大証は上場維持を決めた理由について、虚偽記載を行い、その影響が重大であるときと定めている上場廃止基準に該当しないと説明。会見した東証西室泰三社長は「できるかぎりの聞き取りと書類調査を行ったが、クロとは言えずグレーだった。廃止基準に抵触する組織的な関与があったとは判断できなかった」と述べた。
 そのうえで「悪質性はあるが、傾向や範囲を考えた場合、日興全体の企業の評価につながるのは行き過ぎると判断した」と述べた。
 ただ、東証は日興CGに対し、虚偽記載問題で注意勧告を行った。
 今回の上場維持の結論に関して西室社長は、東証執行役員から異論はなく全員一致で上場維持を決定したと説明した。政界や金融庁から圧力はあったかとの質問に対しては「まったくなかった」と述べた。
 西室社長はこれまでに上場廃止になった銘柄の例を挙げ、「西武鉄道は40年間という長期にわたって経理を偽り、組織的関与があった」と説明。カネボウについては、実質債務超過を実質資産超過と偽ったほか、純損失を純利益とする全体的な不正経理だったと指摘し「今回のケースとは相当違う」と述べた。
 さらに、日興CGが2月末に届け出た有価証券報告書の訂正届出書を調査した結果、利益の水増しの水準が「マイナーで、経常利益1項目だけだった。市場に対するメッセージとして大きく変化し、重大な事象とは言えない」と語った。
 市場関係者からは、引き受け業務を行う大手証券会社が不正会計を起こした責任は重いとの声があがっていたが、これについて西室社長は「会社の属性によって上場判断が変わってはいけない」と語り、証券会社でも事業会社でも判断基準に違いはないことを強調した。

 一方、米シティグループが日興CGにTOB(株式公開買い付け)を実施することが上場維持の判断を左右したかについても「考慮しなかった」と述べた。TOBという予測不可能な市場の動きを判断材料にできないと説明した。
 市場では、日興CGの不正会計問題は組織ぐるみとの見方も出ていたことから、上場廃止の可能性が高いとの見方が強かった。東証大証が下した判断について、野村資本市場研究所の大崎貞和研究主幹は「上場維持は予想外。しかし、完全にクロと断定できるケースとは言いにくいため、取引所がそう決定したのであればやむを得ない」と語った。

疑わしきは罰せず、と言うところでしょうが・・・・。私はとくに陰謀があったとは考えていませんが、それは東証が公明正大な組織だからと考えているわけではなく、出来レースで上場維持させるつもりだったならおざなりな調査をしてさっさと監理ポスト解除すればよい話で、「陰謀にしてはグダグダすぎる」と言うのが理由です。陰謀と言うほどでなくても、政治的圧力があった可能性はなくはないですが、それについては私は何も言えません。

あと、いわゆる政治力と言うことを考えた場合、政府とのつながりとかそういう話は別にしても、一応日興の方が問題発覚後の対処はやっているように思える。上にあるように、日興は指摘を受けた時点で有価証券報告書の訂正、役員の辞任等を行っている(それが十分か、と言われるとやや口ごもるが)。
一方、ライブドアについては、東証がこういうことを言っている。
http://www.tse.or.jp/guide/interview/060313.pdf

(P2/下の方)同社の株式は、開示注意銘柄への指定が行われたものの、いまだ重要な会社情報についての開示が十分になされたとは言いがたい状況にあります。
(P5/上の方)開示注意銘柄に指定した状況下においても、開示が十分でないことについては事実としてご説明したとおりでありますし、ライブドアの四半期開示についてレビューが行われていないことも事実であります。

つうことで、会計情報の開示が適切に行われておらず、問題が発覚した後も十分な開示が行われなかった、と言う言い訳は成り立ちそうである。

一応は東証もちゃんと考えた上での結論でしょう。それが正しいかどうかはともかくとして。

私としては、上場廃止でも維持でもどっちでもいいから、さっさと決めて欲しかったなあ・・・と言うのが本音だったりします。どっちに決断しても文句は言われるわけで、決定が長引いたことでかえって問題が大きくなったような気がします。一部で指摘されているように、上場廃止ルールをもっと明確にして、原則的に下手に東証は裁量を働かさない方がよいのでは・・・・


一応、上場維持に比較的肯定的なブログと、否定的なブログをそれぞれあげておきます。

isologue:日興の「悪さ度合い」と上場維持についての考察
http://www.tez.com/blog/archives/000860.html

それはそれはキビシイ金融庁やSESC、証券取引所、証券業協会等の検査が年中入っている日興さんであれば、内部統制のレベルは全上場企業の中でも上位数%に入る程度にはちゃんとしていたということは十分、推測されます。
今回は、(監査委員会等が以前からそれなりに時間をかけて真面目に検討したにも関わらず)、日興の内部統制システム自身では不正を発見することができなかったわけですが、だからといって1万人を超える従業員を抱えるグループ全体の内部統制状況が全否定されるものでもないのかな、とも思います。

この点、ライブドアの場合には、社外取締役もおらず、東京地検が入るまでは港陽監査法人しか外部の目が入ってなかった(その後の訂正報告書の数を見ても、監査法人の監査が付いてないことからも)、ライブドアの開示資料の正確さに大きな疑問が残るのはやむをえないところで、「日興は上場維持なのに、ライブドア上場廃止というのはアンフェアだ」と同列で判断することは、必ずしも適当ではないかも知れません。

また、「上場廃止したら投資家の迷惑になるといっていたら、上場廃止にできないじゃないか」というのはそのとおりだと思います。しかし、上場廃止したら投資家全体には(流動性プレミアム分)損失が発生するのは確かだと思いますので、上場廃止するのも、単に「悪いことしたから」とか「ペナルティのため」とかではなく、「今後、不適切な資料を開示する恐れがあるかどうか」を中心に判断すべきじゃないかと思います。

isologue:堀江氏判決について考える(「結果」と「プロセス」)
http://www.tez.com/blog/archives/000865.html

日興と何が違うのか
日興もライブドアも、連結されない投資用のvehicle(組合やSPCといった「入れもの」)を使って利益の水増しをした、という点では変わりがありません。
また、カネボウのように、まったくありもしない取引をでっちあげて粉飾をしたというのと違って、ライブドアでもキャッシュはちゃんと入ってきていたわけですし、日興も少なくとも市場で形成された株価で単純計算した場合の「含み」は存在していたわけです。

ということで、一見して両社は同じに見えますし、どちらも褒められたケースでないのは間違いありませんが、両者の違いは一体どう考えればいいんでしょうか?

あえて説明をつけるとすれば、両社の違いはやはり、取締役等が「善管注意義務をどの程度果たしていたか」(適切なコーポレートガバナンスが形成されていたかどうか)の違いではないでしょうか。

ライブドアの場合、あれだけの金額についても、宮内氏以外の取締役や監査役は、投資組合の先がどうなっているかとか、スキームの全貌についてはほとんど知らなかったし、知ろうともしなかったんじゃないでしょうか?もちろん、その場合の会計処理の良し悪しについて検討も行われなかったと思いますし、取締役や監査役から宮内氏に「ほんとにその処理でいいのか?」というような質問も行われなかったんじゃないかと思います。

これに対して日興の場合には、報告書にもあるとおり、SPCであるNPIHや一番下にぶらさがっているベルシステム24まで内容はすべて(バックデートしたということ以外)取締役や監査法人によっては把握されており、しかも「これでいいのか?」という検討は、弁護士等の監査委員やCFO監査法人も含めて、かなり何回も行っているようです。

山崎元の「王様の耳はロバの耳!」日興コーディアルグループ上場維持の決定に思うこと

http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/e/c4bfb2977149786eb086f74662315a38

(1)しかし、先ず、金融庁の指摘をすんなり認め、課徴金5億円を支払った時点で、日興コーディアルグループは十分クロと判断してもいいのではなかろうか。どのみち確証に辿り着きようのない調査で、余計な時間を費やさなくとも、日興コーディアルグループに一度だけ弁明の機会を与えて、これでシロと立証できなければ、即刻、「整理ポスト」(上場廃止銘柄をしばらく取引する場所)で良かったはずだ。
 上場は、証券取引所が、広く一般の投資家に対して、データを信用して、取引しても大丈夫ですよ、という判断を提供し、取引の場を与えることだ。「グレーであって、クロとまでは言えないから、上場維持」ではなくて、「グレーであって、シロとの確信が持てないから、一般投資家の売買対象にはできないので、上場廃止」というのが正しい論理である。
 東証は、捜査機関ではないし、会社の中まで踏み込む気などないのだから、東証が独自の調査で、上場会社をクロと認定することは、所詮難しい。ライブドアのように、経営者が代わって「悪うございました」と認めない限り、確信を持って上場廃止にすることは出来ないだろう。
 しかも、上記のように、上場ということの意味を考えると、東証にクロの立証責任があるのではなく、日興コーディアルグループにシロの立証責任がある、と考えることが、妥当だろう。

 そもそも、日興コーディアルグループが、今上場申請したとして、この会社の上場を認めたかどうか、と考えると、妥当な結論は明らかだろう。
 
(2)決算修正額もライブドアの数倍あるし、日興の方が、時価総額は大きいし、市場との関わりの深い証券会社でもある。社会的影響は比べものにならないくらい日興の方が大きいし、粉飾の罪は重いと考えるのが妥当だろう。しかも、マザーズなどというそもそもが鉄火場から外されたライブドアと、東証一部に堂々と残る日興コーディアルグループという両者のコントラストは異様でさえある。

(3)日興コーディアルグループについては、なぜ旧経営陣の刑事責任について、検察が動かないのか、不思議だ。たとえば、前社長の有村氏の場合、ご本人にとっては端金(はしたがね)だったかも知れないが、実質的に損得ゼロの子会社と孫会社のやりとりを利益だけ計上することで、彼の報酬が数千万円増えている。会社が作った特別委員会による調査でも、少なくとも、彼は、このスキームの全貌を知りうる立場にあった訳で、グループの経済実体として実質的に儲かっていないディールから、報酬を取ったのだから、粉飾決算の責任以外に、背任が成立する可能性もあるのではなかろうか。
 もちろん、彼らにも人権はあり、刑事責任の有無については慎重に判断する必要があるが、社会的な影響の大きさと証券会社の重要性に鑑みて、この問題に検察のメスが入らないことについては、違和感を憶える。

 もちろん、これらの他にも、ジャーナリストの町田徹氏が指摘するような、ベルシステム24の株式を買収した後の会計処理に不適切な部分があるのではないか、という問題など、多くの問題が未解明で残っている。これだけ、不透明な会社が、証券市場を担っていていいのだろうか。

まあ、これを並べると山崎氏の方が明快ではある。

ロイターの2月27日の記事を見ると、日興CGもライブドア上場廃止基準に明確には抵触しない。ただ、ライブドアの場合は赤字を黒字にする決算で、かつその後の開示も十分になされなかったため「再犯」の可能性が拭えなかったと。日興の場合は黒字企業の下方修正で、かつその後の開示は適切になされており、ただし「証券会社」と言う立場をより重く見るべきかどうかが争点だったことになる、ようです。検察がなぜ動かなかった(あるいは、動く必要がなかった)のかは私には分からないが、それは東証に責任を負わせる仕事ではない。

あと、上場廃止と倒産と刑事責任を混同してる人がたまに居られるようですが、東証が判断できるのは上場廃止・維持だけで、上場廃止された西武鉄道は特に運行停止してないし、サントリーみたいに最初から上場してない企業もある。大体、ライブドアだって別に会社は存続しているし・・・

・・・読み返すと、東証を弁護する内容になってるかな。むしろ「問題が起こるたびにフラフラするんじゃこっちが迷惑するからもう少ししっかりしてくれ・・・」と言いたかったはずなのに・・・・。