KJ-monasouken’s diary

昔「モナー総研」と言うスレ紹介ブログやってた人のブログ。いまはTwitterの活動がメイン。

◎◎村上春樹的就職活動2005年卒◎◎(就職)


春樹スレは何スレか取り上げてるので、この際一気に再掲します。

1 名前:就職戦線異状名無しさん[sage] 投稿日:04/01/21 01:10
「わかりません。自分でもわからないんです。」僕は面接官に向かって言った。
自分の声さえも変な方向から聞こえてきた。
「面接を受けているうちに、もうどうでもいいような気がしてきたんです。」
「どうでもいい?」
「たいした学歴じゃないし、自己PRになることもない」
「でも君はさっきクリエイティブな仕事がしたいと言ったよ」
「言葉のあやです」と僕は言った。
「どんな就活にも旗は必要なんです」


20 名前:就職戦線異状名無しさん 投稿日:04/01/29 02:24
「あなたのことを書けばいいのよ。簡単じゃない?」
 彼女は白紙のエントリーシートにひどくあきれた様子でそう答えた。
「問題はそう単純じゃないんだ」
 タバコに火をつけることのようにこの問題を片付けてしまった彼女に
僕はひどく裏切られた気分になった。
「単純よ。あなたが難しくしているだけ」
「そうじゃない。僕は海の底で魚を食べて生きていきたいだけなんだ」
 彼女はそれを聞くと静かに息を吐いた。
「ええ、みんなが本当はそうしたいって思っているわ。でもそれは出来な
 いの。だって、みんなが海の底に行ってしまったら地上には誰もいなく
 なってしまうでしょ?」
「なら誰も自分のことなんて書けやしない」
「そうね」
「しかし君は簡単だと言った」
「簡単よ。そんなこと考えなければ良いの。カメレオンだって餌をとるた
 めに体の色を変えるわ」
「だったらエントリーシートなんてカメレオンが書けば良い」
「だめよ。あなたのエントリーシートだもの。あなたがカメレオンになっ
 て書くしかないのよ」
 彼女はそう言うとゆっくりと立ち上がり部屋を出ていった。僕はその間
ずっと、カメレオンになった自分を想像していた。


106 名前:就職戦線異状名無しさん[sage] 投稿日:04/03/04 11:12
「最後にひとつ」と面接官は座ったまま、僕を見上げていった。
「こういうことを言うのは失礼かとも思うんですが、思い切って
 申し上げまして、あなたを見ているとどうも何か釈然としない
 ところがあるんですよ。慶応の経営学修士で、サッカーチームの
 キャプテンで、感じがよくて、理路整然としている。おっしゃる
 こともいちいちもっともだ。きっと他社さんの面接の受けも
 よいんでしょうね。でもうまくいえないんですがね、最初に
 お目にかかったときから何かが私の胸にひっかかるんです。
 うまく呑みこめないものがあるんです。別に個人的にあなたに
 からんでいるわけじゃないんですよ。だから怒らないで下さいね。
 ただ気になるんです。いったいなにが内定をだすのをためらわせる
 のかってね」



107 名前:就職戦線異状名無しさん[sage] 投稿日:04/03/04 11:13
「ひとつ個人的に伺いたいことがあるんですが、かまいませんか」
ぼくは言った。
「どうぞ、なんなりと」
「もし企業の社会的地位が平等じゃないとしたら、御社はだいたい
 どのへんに位置しているんですか?」
面接官は、冷めたコーヒーをぐいと流し込み、頭を振って、それから
まるで誰かに何かを押し付けるみたいに、時間をかけてゆっくりと
ため息を吐いた。「知りません。でも大丈夫ですよ。少なくとも
あなたが内定をとるであろう企業と同じところじゃあないですから」


126 名前:就職戦線異状名無しさん 投稿日:04/03/08 14:59
 一ヶ月なんて、まったくのところ、あっという間に過ぎてしまう。
この一ヶ月の間いったい何をしていたのか、僕にはまるで思い出せない。
色んな事をやったような気もするし、何もしなかったような気もする。月末になってリクルーターの電話がやってくるまで、一ヶ月が過ぎてしまったことにさえ僕は気づかなかった。

 しかし何はともあれ、内定をもらうための朝はやってきた。
僕は朝六時に目覚め、窓のカーテンを開け、それが内定日和であることを一瞬のうちに確認した。
僕は顔を洗い、食事を済ませ、猫に食事を与え、洗濯をし、リクルートスーツを身にまとって家を出た。


128 名前:就職戦線異状名無しさん 投稿日:04/03/09 01:55
彼女が僕の大学生活の事を訊ね、僕は所属していたサークルやらアルバイトの事、
或いはそれらに嘘を交えて話した。
「楽しかった?」
「悪くなかったね」と僕は言った。
「でもそれだけじゃなく色々と得る物があったみたいね」と彼女が言った。
「色々とやってきたからさ」と僕は言った。
「そしてその大学生活というのは嘘な訳ね」
僕はびっくりして自分の話を思い返してみた。
「どうしてそんなことがわかったのかな?」
「あなたって正直ねえ。そんなのあなたをみればわかるじゃない」
と彼女はあきれたように言った。


129 名前:就職戦線異状名無しさん 投稿日:04/03/09 01:57
「平凡な大学生活だったのよね」
「充実していたと思わせようとはしてるんだけど」
「面接は嘘が通じないと思わなきゃダメよ」
僕は何度か頭を振ってから彼女の顔を見た。
「多分僕の頭が悪いせいだと思うけど、一体君がどうやって嘘を見抜いたのかさえ
理解できないでいる」
「大学生活の中で楽しいこととそうじゃないことがあるでしょ?嘘をついて楽しいことをどんどん言っていても
苦労したことが無ければ、そこにはリアリティーが感じられなくなるわよね。私、そういう話を聞くと
いつもそう思うのよ。今話されているこの話は作られたものなんだって。学生は充実した学生生活の
虚像を見せているだけだって」
「まあ一つの哲学ではあるな」
「でもそれ本当よ。私、経験的にそれを学んだもの」と彼女は言った。


締めコメントで、自分でも書いてみました。

面接官は僕をじらすように、今度はたっぷりと間をおいた。彼は自分に余裕があることを意図的に見せつけているようだった。


>君は君の立場をかなり誤解していると思う。もっと正確に言えば自分のことをずいぶん過大評価していると思う。君が大学で何をやってきたのか私は知らないし、特に知りたいとも思わない。


 ただ私は自分の社会的立場上、できれば自分の大学の後輩をとりたかったし、そのためなら就職のことで私なりに尽力しても良いと思っていた。しかしもし君がうちの組織にふさわしくない人間であるのなら、私の方は別にそれで構わない。この先は君とは関係なく、もっと上に上げやすい学生を選ぶまでのことだ。


 これが君と私が話をする最後の機会になるだろうし、君がうちの会社の人間と話すこともおそらくもう二度とないだろう。もしこれ以上新しい話がないのなら、この会話はそろそろ切り上げたい。このあとまだ別の学生と会う約束があるんだ。


いや、まだ話は終わっていない。


>話はまだ終わっていません。この数ヵ月のあいだ僕は、なぜ就職をする必要があるのかと言うことをずっと考え続けてきたんです。他の学生がどんどんと内定をとっていく間に、暗い静かな場所で僕は推察を重ねてきました。


 ご存知の通り僕はそれほど頭の回転が良くありません。でもなにしろ時間だけはたっぷりあったから、実にいろんなことを考えました。そしてある時点でこういう結論に達したんです。


 サラリーマンの多くが会社に100%満足しているわけじゃないし、出世欲に凝り固まっているわけでもない。ただ自分が世間と離れて錆びていく感覚が怖いからでしょう。違いますか?