KJ-monasouken’s diary

昔「モナー総研」と言うスレ紹介ブログやってた人のブログ。いまはTwitterの活動がメイン。

割と納得できる「正論」


【正論】「胡訪日」以後 同志社大学教授・村田晃嗣 次のステップへの可能性も
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080514/plc0805140325004-n1.htm

昨年暮れに福田康夫首相が訪中して胡錦濤国家主席の来日を招請したとき、胡主席の来日はアジア外交に強い福田首相の資産となるはずであった。ところが、約束の「桜の咲くころ」をとうに過ぎての今回の来日は、福田首相にとっては扱いの厄介な問題となってしまった。今回の日中首脳会談とそれに伴う共同声明の発出は、福田外交の光と影を示すものではなかろうか。


 福田氏の姿勢が「媚中(びちゅう)外交」などとは、筆者は思わない。「日本は中国に対して、言うべきことを毅然(きぜん)として言うべきだ」といった類の議論は、控えめに言っても愚昧(ぐまい)である(もちろん、これの対アメリカ版もある)。こうした議論は、「正論」なら中国が素直に耳を傾けるという前提か、それとは関係なく、自分たちの気持ちがスッキリすることが大事だという前提かの、いずれかに立っている(多くの場合、おそらく後者であろう)。


 ≪総花的だが予想以上≫

 しかし、そもそも、日本国内でも中国に対して「言うべきこと」のコンセンサスが明確であるわけではないし(例えば、靖国問題を見よ)、かりにコンセンサスがあるとしても、「言うべきこと」をどのようなマナーでどのようなタイミングに言うのが最も効果的なのか−−それを考慮することこそ、外交という営みだからである。


 日中両国政府は関係の改善を切望しているが、両国が抱える問題はいずれも深刻であり、国内世論をにらみながら、いたずらに妥協的と見られないようなスタンスをとろうと必死である。そこで、今回の共同声明も総花的で問題先送り的なものになる。日本の国内政治状況を考えれば、なおのことである。



 もとより、今後の具体的進展こそが重要である。地球温暖化対策をめぐってセクター別の規制が有効かどうかは、大いに議論されるべきであろう。また、チベット問題もオリンピック向けの対話だけで終わらせてはならない。白樺ガス田の共同開発問題も然りである。



 とはいえ、今回の共同声明は、率直に言って筆者の予想を超えるものであった(期待値をいたずらに高く設定して、失敗をなじることはたやすい)。北海道洞爺湖サミットに向けて地球温暖化問題での協力を謳(うた)い、日本の国連安保理常任理事国入りに関して、胡主席から肯定的な発言も引き出した。一見迂遠(うえん)で地味ながら、次のステップへの可能性を秘めている。


 かつてフランスの外相タレイランは、馬車をせかせる御者をたしなめて、こう言った由である。「もっとゆっくりやってくれ。私は急いでいるのだから」。もどかしげな福田外交にも、おそらくこうした知恵が働いており、このあたりがプロ受けする外交だと言えるかもしれない。



 だが、そのことは福田外交の影の部分にもつながるように、筆者は思う。つまり、大向こう受けがいかにも乏しいのであり、世論対策やメディア対策がお粗末である。報道に偏見があれば、双方の理解や信頼につながらないと首相は語った由だが、それを織り込んだ上での外交でなければならない。



 ≪中国の30年前の発想≫


 これに中国側のセンスの悪さが加算されている。まず、パンダである。中国国家主席の10年ぶりの来日で、非公式とはいえ、最初の首脳会談でパンダのレンタルを話題にする必要が、果たしてあっただろうか。これは日中友好の演出のつもりなのだろうが、むしろ「パンダほしさに中国に妥協する必要はない」という反発を誘発している。


 次に、ピンポンである。早稲田大学で、胡主席は人気の福原愛選手とピンポンに興じた。当初は、福田首相も参加する計画があったという。首相がこれに参加しなかったのは、まことに「不幸中の幸い」である。首相も承知のように、そんなパフォーマンスが好評を博するような政治環境には、まったくない。パンダにしろピンポンにしろ、広報外交としては、発想が30年以上遅れている。


 30年古いといえば、最近、河野洋平衆議院議長を実力で阻止しようとした野党議員の無様(ぶざま)な姿も、遠い昔を彷彿(ほうふつ)とさせるものであった。こうした内政の中での苦しい外交であることは、筆者も十分に理解している。


 けれども、メディアや世論の無理解と移り気に、政府をあずかる人々がすねてみたとて仕方がない。前首相がチベット問題を話題にしたことを、職を投げ出した者の気楽さとすませず、公式外交の補完とするような戦略性が、福田外交には求められていよう。(むらた こうじ)


産経については批判的記事を書いたことが何回かあるが、今回のこれはすんなり納得した。私も福田首相は「親中」であっても「媚中」とは思っていないし、多くの人が「自分たちの気持ちがすっきりすること」だけを重視していると言うのも事実だろう。残念ながら「正論」をごり押ししても相手が聞く耳を持つとは限らないし、時間をかけた方がいい結果となることもあるだろう、と思う。何も言及しなかったなら「媚中」と言われてもしょうがないが、チベット問題にしても餃子問題にしても首脳会談で言及している。多くの人が言うように不問にしたがっているなら議題にも挙げないだろう。結果がどうなるかは中国政府の問題としか言いようがないと思う。「正論」がすんなり通じる相手なら最初から苦労しないんじゃないだろうか。


福田外交が大向こう受けが乏しいのも事実だろうし、福田首相はむしろパフォーマンスを嫌っているようにすら見える。私はそういう福田首相が嫌いではないが、支持率にはつながらないだろうな。


でも、パンダ一億であんなに大騒ぎするかねえ?一応希少動物の保護と言う名目はあるし、上野動物園の年間入場者数350万人で割れば一人29円。入場料より安いくらいの金額だ。税金の無駄と言うなら、ビジネスモデル自体が批判されてて先行き不安な新銀行東京への追加出資額の400分の1なのだがな・・・。少なくとも私の価値観では新銀行東京の価値がパンダの400倍もあるとは思えないが、多くの人にとってはそうでないらしい。


まあ、中国が食品問題、チベット問題等で不誠実なのは確かだから仕方ないけど。「とにかく中国に金出すのが嫌」ってことだろうな。あと、首相発言で看過できないと思ったのは「レンタルへの疑問が少数派」ってとこ。積極的に反対する人は多くないかも知れないけど、流石に疑問がある人は少なくないだろう。


中国メディア向けの発言とは言え、自分の足もとが危うくなるほどリップサービスすることもないと思うけどなあ。