KJ-monasouken’s diary

昔「モナー総研」と言うスレ紹介ブログやってた人のブログ。いまはTwitterの活動がメイン。

●★村上春樹風に株価を語るスレ★●(株式)


最後は株ネタ。


[05/08/20-13:20]
●★村上春樹風に株価を語るスレ★●(株式)
http://s03.2log.net/home/mri/archives/blog219.html

1 名前:山師さん 投稿日:2005/07/28(木) 00:03:17 ID:h+iD1aKT
 「もう上がらない。無理よ。」
電話の向こうの彼女は僕に冷たく言い放った。
 「ふぅ・・・そうか・・・」
相変わらず、チャートに変化はない。


「5倍になるのよ」
ふと、どこかの占い師が唐突にこの言葉を発した場面を
僕は回想していた。


その占い師によれば某IT企業の株価が五倍になるらしい。
「成り行きで10万株。」のオンライン注文を出すのに
そう時間はかからなかった。自然と体が動いていたのだ。


しかし、以前としてチャートはその形を崩さないでいる。

そのときだった。空売りが殺到し、株価は大きく下に向き始めた。


「終わりか・・・」
僕は受話器を持ったまま、顔を上げ、
電話ボックスのまわりをぐるりと見まわしてみた。

僕は今どこにいるのだ?
でもそこがどこなのか僕には見当もつかなかった。
いったいここはどこなんだ?
僕の目にうつるのはいずこへともなく歩きすぎていく
無数の人々の姿だけだった。

僕はどこでもない場所のまん中から下がるチャートを眺めつづけていた。


6 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/07/28(木) 01:40:07 ID:l+MMYT2Q
気持ちを整理するのにはもっと長い時間がかかった。
まず一番最初に占い師の言ったことを信じるか信じないか
という問題があった。僕はそれを純粋な可能性の問題として
分析してみた。感情的な要素を見渡せる限りのフィールドから
徹底的に排除した。それはさして困難な作業ではなかった。
僕の感情はそもそもの最初から仕手に刺されたみたいに
ぼんやりと麻痺していたからだ。可能性はある。と僕は思った。


12 名前:←(・∀・)Debug ◆xjwBWO6VKU 投稿日:2005/07/29(金) 00:08:46 ID:Kf/qllQl
「あなたは2005年の7月頃何をしてたの?」
デイトレに夢中だったよ。」2005年、我らが年。
「その後株価はどうなったの?」
「戻らなかったね。」
「幸福だった?」
「遠くから見れば、」と僕はExcelシートを埋め込みながら言った。
「大抵の投機家は幸福そうに見える。」


16 名前:山師さん 投稿日:2005/07/29(金) 07:27:10 ID:XzFE6NGA
少し頭が混乱したが、ともかく銘柄名をいい、株価を訊ねてみた。
終値は僕が予想していたより40パーセントも安かった。


17 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/07/29(金) 08:56:20 id:TLwrQR21
そしてその気配値はいつものように僕を混乱させた。いやいつもとは比べものにならないくらい激しく僕を混乱させ揺り動かした。
僕は頭がはりさけてしまわないように身をかがめて両手で顔を覆い、そのままじっとしていた。
僕は顔を上げて自分が株でだした損失のことを考えた。失われた時間、死にあるいは去っていった人々、もう戻ることのない想い。


19 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/07/30(土) 01:01:48 id:w1vCQ2cr
「また持ち越したの?」
「ああ、月曜日のギャップアップは間違いない」
「先週末も言ってなかった?」
「ああ、先週末は外れたが・・・」
「先々週末もその前の週末も外れたわよね?」
彼女は無言でコーヒーを飲み干すと席を立った
「月曜日ロスカットしたらお金返してね」
背中を向けたままそう言い放つ彼女に僕は何も言えないでいた

どれくらい時間がたっただろう
テーブルの上にはコーヒーカップが二つ
彼女の残り香がある狭い部屋で僕はPCに電源を入れた

「来週こそは上がるはずなんだ」

僕は期待している3009に


22 名前:←(・∀・)Debug ◆xjwBWO6VKU 投稿日:2005/07/31(日) 20:00:21 ID:+IoUJxeJ
カフェは海の見える高台にあり、僕が椅子に座ると、髪の長いウエイトレスが冷たいオレンジ
ジュースと二個のドーナツをだしてくれた。
僕は膝に砂糖をこぼさぬように注意してドーナツを半分食べ、オレンジジュースを飲み干した。
「おいしかった?」
「とてもね」
彼女は下唇を軽く噛んだ。
「今日で終わりにするわ」
僕は煙草に火を点け、煙を3回吐き出す間、黙ってカウンターの羽目板の木目を眺めていた。
「嘘はつきたくないのよ。」
「わかってるよ。」
僕たちは黙り込み、くるくると回る楽天証券のロゴをずっと眺めていた。


25 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/07/31(日) 23:27:34 id:dqRb8XuD
「あなたは本当に当てる気があるの?」
彼女は真剣な目で先生を見ていた。
「どうだろう、よく分からないな。正直なところ、僕にはさしあたって当てなければならない理由が無いんだ」
途端に彼女の表情が険しくなった。
「どうして?あなた評論家でしょ?」
「評論家だからいいのさ。いいかい、毎年市場には多くの素人が参入してくる。僕が曲がりやと気づかれるまでは僕の仕事はなくなることはないんだよ。」
先生はまるで朝になれば ニワトリが鳴きますよ、とでも言いたげな当たり前の口調で答えた。

「すべての人に気づかれたらどうするの? 2chではあなたのこと曲がりやの髪と言われてるのよ?」 と彼女は言った。

「いいかい、ドーナツの穴と同じことだ。髪の不在と捉えるか、あるいはハゲの存在として捉えるかはあくまで形而上学的な問題であって、
それで評論家としての価値が少しなりとも変わるわけではない。」

「いや、そういうことじゃなくて・・・」彼女は陰鬱なロシア文学のような顔をした。


28 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/08/01(月) 08:57:45 id:cq3z4tFr
「ねぇ、8月は売りだって予測したの間違ってると思う?」緑がそう訊ねた。
鼠はビールを一口飲み、ゆっくりと首を振った。
「はっきり言ってね、みんな間違ってるのさ。」
「何故そう思うの?」
「外人が買っているよ」鼠はそう言った。
「私は7月も軟調だと思って何度も空売りしたわ。でもロンドンのテロ人民元の引き上げもほとんど影響しなかった。
担がれてとても苦しくて死ぬかと思ったわ。それでね、何度も何度も底値からの日柄を数えたの。
明日で5/17から53日目なのよ。たいした押し目もいれずにこんなに上昇が続くなんて」 
緑はそう言うと軽く笑って、憂鬱そうに目の縁を押さえた。
「トレンド イズ フレンドだよ。これでいくことだね。」鼠は最近読んだブログの言葉を緑に言った。
「それ誰のブログ?」
北浜流一郎


29 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/08/01(月) 15:07:47 ID:+2sej7xS
僕はノートの真ん中に1本の線を引き、
右側に買った後暴落した株、左側に損きりした後暴騰した株を書き始めた。
しかし、それらを最後まで書き通すことはできなかった。

僕は失った資産の大きさに愕然とさせられる。
まるで北極のクマがハンマーをもってきて僕の頭を殴るような衝撃を受けた。
結局のところ、おちんちんびろーんとはそういうものなのだ。


31 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/08/01(月) 23:49:16 ID:8vhW9uIb
「ところであなたの9204の買値は?」

「千二百二十。」と僕は言った。

「そりゃ凄い。」と彼は表情も変えずに言った。「実に凄い。」そしてまた耳を掻いた。


32 名前:山師さん 投稿日:2005/08/02(火) 12:16:57 ID:b3bIbR6T
指数は伸びても僕の持ち株は死んだままだった
この状況は僕をひどく混乱させたし、いささかうんざりもしていた。

そうだ。素直にアドバンテストを買おう。



33 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/08/02(火) 17:56:57 ID:bN/mGc+n
買ったところが今日の天井だった。そう考えると僕はたまらなく哀しい。


34 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/08/04(木) 16:39:06 id:JJM0Gn7x
また損きりした。一度損なわれてしまった金はもう元には戻らないのだ。


35 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/08/05(金) 08:45:11 id:b1GIbgzp
我々はささやかな奇跡を求めてもいたのだ。ちょっとしたきっかけで
クソ株が暴騰することがやってくるかもしれないということを。
しかしもちろんそんなものはやってはこなかった。
そして損きりした。
僕はこの下げ相場をうまくやり過ごせるという気がした。

僕は馴れつつあるのだ。


37 名前:←(・∀・)Debug ◆xjwBWO6VKU [sage http://blog.livedoor.jp/debug1/] 投稿日:2005/08/06(土) 16:54:51 id:sxEMbFmm
僕は最初にこの株と出会ったときから、この株を買いたいと思った。もっと正確に言うなら、
僕はこの株を買わなくてはいけないと思ったのだ。そしてこの株だって僕に買われたがって
いると本能的に感じた。僕は株価を前にして文字通り体がぶるぶると震えた。そして僕は株
価を見ているあいだ何度か激しく勃起して、歩くのに困ったくらいだった。それが僕の生まれ
て最初に経験した「吸引力」だった。


僕はそれから二ヶ月間に亘って脳味噌が溶けてなくなるくらい激しく売買をした。僕は業績
を気にしなかったし、チャートも見なかった。業種についても、地合いについても、PERにつ
いても原油価格についても、何一つ気にしなかった。僕はただただ売買をしているだけだった。


もちろん板の動きのようなものは見ただろうと思う。でもどんな板状況だったのかほとんど思
い出せない。僕が覚えているのは、そこにあった具体的な事物のイメージだけだ。キーボー
ドのNumLockランプ、マウスの隙間に挟まった髪の毛、いくつも並んだ「約定済」「取消済」
の青くい丸いフォント。そこには検討もなければ分析もなかった。僕はそこに提示されたもの
をただ単純に貪っただけだし、株価のほうもおそらく同じだった。僕は日に40〜50回は売買
した。僕は文字通り種が尽きるまでこの株を売買した。亀頭が腫れ上がって痛くなるくらい
激しく売買した。でもそれほど情熱的であったにもかかわらず、それほど激しい吸引力を感じ
ていたにもかかわらず、自分が株主として、長く幸せにやっていけるだろうというような考え
は頭に感じなかった。僕にとってそれはいわば竜巻のようなものであり、いつかは過ぎ去って
いってしまうものだった。こんなことがいつまでも続くわけはない、と僕は感じていたのだと
思う。だから僕は買うたびに、こうして売買できるのもこれが最後になるかもしれないという
思いを頭のどこかに抱いていたし、そのような思いは僕の購入意欲を余計に高めることに
なった。


44 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/08/08(月) 16:29:18 id:ySxv/heK
「ねえ、なぜいつもそんなにすっぱり損きりができるの?」とみどりが言った。
「損きりが好きな人間なんてないさ。郵政法案否決後まで持ち越してさらにがっかりしたくないだけだもの。」

そう言って朝寄りで全株処分した後、後場に暴騰した。やれやれ。


45 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/08/08(月) 20:41:46 id:bI9EcyPN
準備は完全のはずだった。でも世の中には完璧なんてものはなくて、
どこかに抜け穴がある。なぜなら今日の暴騰も、予想可能な範囲内、
あるいは絶対に買うべき所だった。
でも今回もそれを見逃している。

損しなかっただけ、ましか。そう思い直して僕はまた、単調な模様の映った
パソコンの画面に向かった。


49 名前:←(・∀・)Debug ◆xjwBWO6VKU [sage] 投稿日:2005/08/10(水) 00:53:01 id:dwXJupij
 それでも僕はかつての忠実なアホルダーとしてのささやかな誇りをトランクの底につめ、
港の石段に腰を下ろし、空白の水平線上にいつか姿を現すかもしれない中国行きの
スロウ・ボートを待とう。そして中国の街の光輝く屋根を想い、その緑なす草原を想おう。

だからもう何も恐れるまい。クリーン・アップが内角のシュートを恐れぬように、
革命家が絞首台を恐れぬように。もしそれが本当にかなうものなら……

 友よ、
 友よ、10億はあまりに遠い。


52 名前:山師さん 投稿日:2005/08/10(水) 15:34:50 id:mzwB1Mfe
話せば長いことになるが、僕の含み損は郵政法案否決の瞬間から300万ほどになる。
まだ充分に耐えられるが、昨日ほど余裕でもない。
もし明日も日経が爆上げするなら、僕は日曜日の朝にエンパイアステートビルの屋上から飛び降りる以外に手はない。


56 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/08/10(水) 18:27:39 id:uC5ochFQ
「どうしてトレンドに逆らって空売りなんかするわけ?」
「変ですか?」
「わからないな。君は12000円越えたところで空売りをするし、僕は逆に買い増しをする。そのあいだにははっきりとした
違いがあるし、僕としてはどちらが変かというよりは、まず違いをはっきりさせておきたいんだ。
お互いのためにね。それに、株の話は君が先に持ち出したんだよ」
「そうですね」と彼は逝った。「ところでラビ・シャンカールのレコードはお持ちですか?」
ない、と僕は言った。



73 名前:山師さん[sage] 投稿日:2005/08/13(土) 01:14:19 ID:/wifZeHf
「き、君はどんな銘柄を売買するの?」と最初に会ったとき突撃隊はそう言った。
「なんでもいいんだよ。僕の場合」 と僕は答えた。
新日鉄だって、ライブドアだって、昭和ゴムだって何だっていいんだよ。
その日のランキング上位で動いているものに飛び乗るんだ。信用二階建てでね。」
「業績のいい株でやるんだね。」と突撃隊は訊いた。
「いや業績は関係ない。とにかく動いていてさえいればいいんだよ。」 と僕は答えた。
しかし、その答えは彼を混乱させてしまった。
「よ、よくわからないな。そ、そんなことしたら高値掴みすることもあるだろうし、内容も調べないで不安じゃないかい?」
彼の言うことはもっともだった。
事実、僕は一度は全てを失い、キャッシングで借りた金を元手にやっと最近 復活できたのだった。

「ぼ、僕はね。て、低位株が好きなんだよ。」と突撃隊は言った。
「内容のいい東証1部の低位株を調べてさ、て、手書きで月足チャート書いて、2倍3倍になるまでほっておくんだよ。」
なるほど世の中にはいろんな投資手法があり、目標があるんだなと僕はあらためて感心した。

僕たちの部屋の壁にはヌード写真の代わりに突撃隊が書いた特大の山村硝子の月足20年チャートが貼られてあった。
「こ、これを毎日眺めてるとさ、う、動きがわかってくるんだよ。」
突撃隊はこれを見てマスターベーションするんだぜと僕が他の寮生に冗談を言ったことがあったのだが、それはあながち間違いではなかった。