カポーティ・あしたのジョー
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社交界でのカポーティの振る舞いと名声のために犯罪者に弁護士を紹介して死刑を延長するという行動には「俗物」と言う言葉がふさわしいように思えた。
ただ、だからこそ後半の苦悩が際立つとも言える。
劇中「『冷血』とは事件のことか、それとも(この事件を小説にしようとする)君のことか?」とカポーティが尋ねられるシーンがある。
そこでは自分自身のこととは答えていないが、殺人事件を扱い始めたときは、とことん小説家として「冷血」に振舞って「殺人者から小説の種を引き出し、ラストの死刑までを淡々と眺める」自信があったということかも。
殺人者ペリーの方は映画後半にカポーティにすべてを語り、どことなく吹っ切れた感じを受けるが、カポーティの方は小説の最も重要な部分のネタを得てからは気の抜けたような感じになってしまう。
罪人の懺悔を聞くのは宗教家の仕事であって、人の生き死にに関わる罪を軽々しく扱うものではない、と言うことなのかもしれない。いや、そんな教訓的意図があって作ってるとは思わないけど。
- 作者: 高森朝雄,ちばてつや
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/02/08
- メディア: コミック
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いわずと知れた名作中の名作。近所のブックオフで全巻そろえたけど、今読んでもすごく面白い。
こういうストイックな漫画をもっと読みたいですね。